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随筆紹介  「酷暑と酷社」    文科系

2016年09月27日 12時46分10秒 | 文芸作品
   酷暑と酷社  M・Aさんの作品です

 この夏は、八月、九月が酷暑になるとの長期予報を聞いて、うんざりしたときはまだ入り口だった。

 わけあって、私のいる二部屋は、エアコンが四十一年使ってある代物で、ほとんど効かない。学習教室など外出のない午前中は家にいてもなんとかもつが、午後はさすがに脱出する。涼しい大型スーパーに買い物に行くか、夫が住んでいる棟の方で過ごしている。
 自分のことだけならなんとか凌いできたが、近くにいる次男夫婦と孫に関わっていると、体調を崩すことが多くなった。保育園に預けている一歳三か月の男の孫から、よく風邪をもらうことになる。孫から嫁、次男、私、夫というように、どうしても移る可能性が高くなる。
 私は、初期段階で薬をすぐに飲むので大事にはならないけど、なにせこの酷暑。次男は屋外での仕事だ。運転を主にはしていても、体力があるとはいえないので、風邪が原因と思われる高熱と酷暑で食欲不振になり、元々痩身なのにこの二週間で九キロ痩せた。

 発熱六日目でやっと病院にかかり、大がかりな検査をしたが、特に異常なしと単なる風邪薬が出され、点滴をしただけ。三十九度の熱が出ているのに、平日一日たりとも会社を休めず、仕事帰りに点滴のできる病院に替えて、通い二週間余り。高熱は収まったが、いまだにほんの少しだけしか食事もとれていない。
 できることなら、救急車で入院させたかった。でもそうすれば、次男は余計なことをするなと怒るのが分かっていたのでできず、私はできる範囲のことをするしかなかった。でも、私には理解できないことばかりだ。近くの病院で診察したときに、医者が言ったそうだ。
「飢餓状態です。ケトンが降りています、気の毒に」。それでも病名が判然としないなんてあるの………? さらに信じられないのは、これほどの状態でも会社を休めず、出社させる企業。こうした前例もなく、対処もされない事ってあるのだろうか。お嫁さんによれば、「言えば休みをくれたかも。でも言わない人だよね」。
 彼女も子を預けて働いている。だからこそ近くにいる私は、次男の家族を助けざるを得ない。以前から夕方二時間ほど、少しでもと思って手伝っているのだが、こちらもこの暑さでバテぎみである。
 次男の病名は? 熱疲労なのか、単なる体力の限界だけなのか、暑くて苦しいこの夏。そして、この先の出口はいつなのか。
コメント (9)
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