トランプという人間(10)「炎と怒り」、その「輪郭」 ④ 文科系
大統領大統領初当選直後に出たこの500ページ近い本の内容を3回に渡って大急ぎで紹介してきてまだその途中であるが、今日は閑話休題として、この本の最も大きい輪郭、狙いに触れてみたい。そもそも200件の聞き取りをも経て書いたと言われて、その内容はいわば激しい政争話だ。ついては、この争いの何を取り上げ何を落としたかという著者の立場の客観的概括がなければ、公平な読み方とは言えなくなる。本自身の中身としても「・・・という話だ」「・・・と誰それは述べていた」というある意味無責任な印象批判とも言える表現もかなりあることだし。
さて、この輪郭、狙いを僕なりに客観的に推察すればこんな事があると読んだ。
① バノンのサイドの目で書いており、トランプの娘夫婦を批判する内容になっている。この内容なら、バノンの復帰すら形としてはまだ残っているという程度の内容だと読んだのだが。
② ということはつまり、こういうことだ。米大統領トランプ政治の1年が結局、娘夫婦とその周辺の財界人らによってこう動かされてきたという内容になっている。なお、行方も定まらぬ泡沫候補上がりのトランプ政権内の娘夫婦にどんどん近づいてきた人物には、こんな人々が居る。マスコミ人でFOXテレビのビル・マードック。ゴールドマン・サックスの現役社長だったゲイリー・コーンはトランプの経済閣僚になった。また、超高齢政治家ヘンリー・キッシンジャーも所々出てくる。
③ ①②を併せると、こういうことになる。ここに書かれた「全体像」が真実か否か、どれぐらい真実かなどは分からないとも。つまり、当然のことだが、「裁判になっても言い逃れできる程度の内容」ばかりだとも言えるのである。
ちなみに、8月にバノンが大統領府を退いた瞬間に、こんな声明も発表されている。
『バノンが首席戦略官および上級顧問を辞任すると、古巣のブライトバート・ニュースは直ちに同年8月18日付でバノンが会長に復帰すると発表した。このときバノンはブルームバーグ・テレビに対して次のように話した。「自分はホワイトハウスを去り、トランプのために、トランプの敵との戦争を始める。その敵はキャピトルヒル(連邦議会)やメディアやアメリカの経済界にいる。」翌19日、トランプ大統領はツイッターに「バノンに感謝したい。彼は不正直なヒラリー・クリントンに対抗して立候補した私の運動に参加してくれた。それは素晴らしいことだった。Thanks S」と投稿した。』
(ウィキペディアから、文科系引用)