イングランドはプレミアリーグで、今世界を騒がせているのがレスター。アフリカでも、中国などアジアでも、この弱小チームの奇跡の動向が注目されて、視聴率も大いに上がっていると聞く。アメリカがFIFA「大改革」に乗り出して来たのも、大国アメリカを差し置いたこの他を圧倒する世界的サッカー大人気をなんとか自分の手の内にしたいという陰謀とさえ、僕は観測してきたほどだ。
そして昨日、岡崎が活躍するこのチームの優勝がほぼ決まったようだ。全38節のうちの今35節で、2位チーム同点、レスター勝利の結果、勝ち点差が2広がって7点差が付いたのである。この勝ち点差2への広がりは大きく、レスターが残り3ゲームのどのゲームでも良いからあと1勝すれば優勝となった。残り2ゲームが最悪パターンの場合でさえ、勝ち点は6しか縮まらなくなったからである。レスターが残り3ゲームを全部負けることなど、およそあり得ない想定という理屈による「優勝確定」。おまけに、レスターの今節の勝利は、エース・バーディーを出場停止によって欠きながら、4対0という好調ぶり。代役が大活躍したのだった。と言ってもこの代役ウジョアというのは、去年2桁得点した昨年度のチーム得点王。岡崎はこの実績豊かな190センチ本場アルゼンチン人巨漢を押しのけて、第2FWレギュラーを張ってきたのだった。
さー、次はチャンピオンズリーグだ。この弱小チームには、CLでの大活躍はそんなに望んでいないが、せめて本戦トーナメントに進んで、1回ぐらいは勝つというレスター、岡崎を観てみたい。選手層が薄いから多くは期待できないが、この世界1クラブ決定戦のような大舞台で岡崎にまた一皮むけて欲しいと密かに願っているのである。もう既にヒデと並んで日本歴代最高の選手になったと言える岡崎だがまだまた成長中と、その変身を作り出していく「懐(頭脳)の深さ」は底知れずと言える選手。選手生活の最後まで目が離せないのである。こんなに楽しめる選手もちょっと居ない。
なお、岡崎の成長、強化はそのまま、日本代表の成長、強化になっていく確率が大きいと観る。点の入りにくい現代サッカーでは、得点力のある選手から逆算してチームを作っていくという理屈からのことだ。ちなみに、レスターの戦い方は、今の弱小チームが最も取り入れやすい世界的戦法。世界では弱小の日本にとって、こんな良い見本はないと思う。ちなみに、ブラジル大会で脅威になったアルジェリアを率いたのが、現ハリル監督。アルジェリアとレスターが似ていると思うのは僕だけではないはずだ。レスター戦略の2大要の1人リャド・マレズはあのアルジェリアチームにハリルが大抜擢したフランス国籍をも備えた選手である。とすると岡崎と組む俊足トップは、さしずめ広島・浅野か・・・とか、楽しみは広がっていくばかりだ。
‥でも、60分限定。
って、スタイルを確立しつつありますね。
日本代表も、思い切りカウンターに振ってみたら、岡崎の生きる場所もあるかも。
22歳の岡崎が既に、南アWC予選段階の世界得点王になっていた。これは世界でも有名な話。予選段階世界得点王とは、1国代表の絶対的FWになって初めて成し遂げられる業績であって、これ自身が22歳の選手として希有なこと。歴代日本代表ではFWは常にドングリの背比べであったし、日本はFWが特に弱かったとも言えたからだ。
日本FWとしては例のないこういうごく若いころからの実績があればこそ、岡崎は代表100ゲームを突破できたのである。こんなFWは日本にはいなかったからこそ、僕も8年かけて彼を追いかけてきた積もりだ。
武田修身が「釜本を超えた」と言い、俊輔が「今の代表最大の顔。彼中心のチームを作るべき」と語るのは、こういう全てを踏まえて極めて自然な、論理的な話だと思う。
そもそも、プレミアリーグ優勝チームのレギュラーなんて、今までの日本では到底考えられない実績の産物ということだ。ましてやそれが、日本最大の弱点FWにおいてのこと。同じ意味で吉田も天才だが、岡崎は優にその上を行くのである。日本お得意のMFには、ヒデを筆頭として、小野も俊輔も居た
「悔しい(点を獲れないで)」
移籍当初にも書いたが、彼がレスターに移籍した目的はストライカーとしての成長である。
「得点すること」
それが最大の目的だった。
シーズンが始まりチームの快進撃は岡崎に功罪をもたらす。功はその運動量への評価。あれだけ自陣に引くチームの場合普通ならばDF、SHとFWの間にぽっかりスペースが広がる。そこを埋める選手は中々居ない。尋常じゃない運動量を必要とし、FWとして幾つかのプレーを捨てる必要もあるからだ。
罪はまさにこれ。
スペースを埋める仕事を始めた時にストライカーとしての役割は必要無くなったこと。そしてこれが最大に評価されたこと。
今のレスターを観れば得点の役割はヴァーディ、マフレズ。岡崎はスペースを埋め、相手の攻撃を遅らせ、パスコースを限定しカンテにボールを奪わせる。
つまり、世にも珍しい2列目のDFとして覚醒した。
当然得点の機会は少ない。ヴァーディやマフレズに獲らせる仕事が第一だから。
これが「悔しい」の意味になる。
最新のゲームでヴァーディが不在のチームに於いても役割は同じ。
今シーズン岡崎がシュートを外す場面が何度となくあったが、あれを観ても岡崎に与えられた役割がストライカーとしての成長にマイナスをもたらしていることが分かる。シュートに行く時点で既にガス欠起こしてるんだよな。だからゴール前の動きやアイデアが単調になる。プレミアのDF相手にはあの程度では通用しない。
しかし、チームもラニエリもそこで通用しない岡崎は想定内。そんなことはヴァーディやマフレズが何とかするから、君にしか出来ない2列目のDFを頼むよ。
こういう位置付けが1年で固まった。恐らく来年以降も役割は変わらない。何故ならば、ストライカーの替わりは幾らでも買えるが2列目のDFの替わりはそうそう居ないからである。
そしてこの岡崎を代表でより活かすならばレスターと同じ仕事に嵌めるのがベストだろう。ストライカーとしてではなく。これが嵌まれば代表の弱点であるSHの守備力の解決も出来る。得点は香川、本田、宇佐美等に任せればいい。
岡崎のレスター移籍はチームにとっては今年のプレミアを代表する成功例になった。但し一人のストライカーとしては本人の「悔しい」という言葉が全てだろう。
とりあえず優勝おめでとう。
バーディーは今や、世界ベスト10に入るような点取り屋だ。まだ若いマレズはアザールに近いほどの才能を認められ、今年中にバルサかマドリーかプレミアビッグかという選手。彼らが相棒でなければ、岡崎はもっと点を取っているはずだ。また、マインツ時代よりも点取り術が増していることも事実。バイシクルとか、先日代表戦の数人交わし、股抜き得点とか。つまり、ブンデスで1トップなら、20点確実という実力になったと観ている。
彼が「点を取りたいから悔しい」というのは、この状況下でもさらなる得点を狙ってきたからだ。60分までで80本ダッシュが出来るようになった体力を90分に分けて使えばさらに得点も上がるはずである。
こうして、俊輔が言うように「岡崎の点取りに合わせた代表を作ればよい」に大賛成である。ただし、上で語った「レスター型代表を」ということになれば、CBが弱すぎるとは強調しておきたい。
プラス、一人、ストライカーが居たら、世界に通用する・・かも。
『ボール保持率でも、パス成功率でもない、取り敢えず守って、放り込みのサッカー』
レスターをこう観るのは、知ったかぶりの証拠。こんな単純なチームでは到底プレミア1位にはなれません。
キープやパスの乱れはおっしゃる通り。だがしかし、これはあることのための犠牲なのね。それはスピード。猛烈ダッシュしながらのパス出し、同じくトラップ、それも縦に速くばかりの、とね。これを追求するから、ミスも増える。
とにかくこういうチームなのだ。「奪ったらすぐ前へ。ロングボール(放り込み)ではなくロングパスで」
単なる「アバウト」や「正確さなし」では、プレミア1~2位の得点力を、あの「少ないチャンス」で成し遂げることは出来ません。
ラニエリは常にこう命じています。
「縦へのスピード。そのために正確さを犠牲にしてもよい」
後半戦に入る前頃から失点が急に少なくなって(前半の3分の1ほど)、以降余計「ボールを奪われることを何とも思わないチーム」になったんですよね。こう言っても良い。
『少ないシュートチャンスをスピードで作り出すから、余裕を持ってシュートできるチーム』
特にSH、DFに関しては無理。それをこのままタレント待ちにしていても先は見えない。ということで2列目DFで覚醒してくれた岡崎にレスターと同じ仕事を任せる。
守れればいいんだよ。レスターと同じ。
パスの成功率、シュートの決定率が低くても無駄な失点が無ければレスターのように下手でも勝利の可能性が広がる。
その役割は岡崎が最適。
さっきは面倒になって書かなかったが、岡崎は来年以降もレスターでの仕事は変わらず、ではストライカーのスキルを上げる為に移籍を考えても岡崎を必要とするチームは今と同じ仕事をする岡崎しか興味が無い。さっきも触れたがストライカーの替わりは幾らでも買えるが岡崎と同じ仕事を出来る選手は中々居ないんだよ。普通のストライカーならば拒否する仕事だから。
だからもうプレミア始め欧州で岡崎はこれからも稀有な存在になる。ストライカーとしては見られない。
だからチームと違う役割を代表で与えるよりはプレミアでも通用した運動量とDF力を代表にフィードバックさせた方がメリットは大きい。
幸い日本代表はゼロトップでもいける程タレントは中盤に集まっている。
岡崎を偽トップにして中盤に点を獲らせる方がスムーズになるし、何より守備面での効果は計り知れない。
そういうプラン。
ストライカーは何点獲るかも大事だが、外した時にどんな外し方をしたか見た方がストライカーとしての能力は分かる。レスターもラニエリもそういう部分で岡崎の仕事を決めているのだろう。
それは正解。
上のこの言葉の、もっとよい表現を思いついた。
『不正確だけど早く、速いパスで、(少ない)シュートを正確に打つ(時間を稼ぎ出す)チーム』
こういう表題のことで言うと、ドリブル好きは、特に宇佐美、本田などは外した方がよい。原則、ワンタッチ叩き原則ということだ。浅野と2トップで、長谷部、青山(遠藤航)、香川辺りでよいのではないか。すべては、五輪の結果次第だが、遠藤航は急激に成長すると思う。彼には、岡崎と同じものを感じる。岡崎と言うよりも、ヒデタイプかも知れないが。
これが昔のままのプレミアならばレスターはとてもじゃないが勝利出来ない。
相手に人数と手数を掛けて攻めてもらわないとあのシステムは機能しないから。
スキルの高い選手が揃って居ないからこそ出来るシステムとも言える。そうじゃないとあそこまで腹を括ったゲームは出来ない。リバプールと較べれば分かる。そこそこスキルの高い選手が揃えばスピードと同時にボールキープも目指すから。
で、大体中途半端になるw
まあそういうことなんで岡崎はレスターと同じ仕事をやってもらいましょう。
問題は今までトリオの内の誰かが繋ぎの為に犠牲になってたことだったから、岡崎が掃除して柏木からトリオにパスが入る状態を作れればはるかに得点のチャンスは増える。
後は従来より激しくなる(岡崎のおかげで)守備があればある程度は闘えるようになるだろう。
岡ちゃんよろしく。