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ラジオと玉音放送④   中野寂音

2008年09月18日 09時15分09秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
私は昭和十七年一月日本放送協会(現NHK)に入社、技術部に所属していた。
昭和十九年十二月から一年間軍隊にいた。
その間四月から十二月まで中国にいた。
これが昭和激動の時代であった。

復員後日本放送協会に復職、八月十五日の放送局の模様を、
当時の技術担当者から直接聞くことが出来た。
「玉音放送」の録音盤のことも聞いたが、
当時の記録はすべて廃棄したので「玉音放送」は聞くことは不可能であった。

民間放送の開始とともに名古屋のCBCに入社した。
戦後十年位経過した頃、玉音放送録音盤と関係が新しく始まった。
私と日本放送協会に同期に入社した先輩寺田さんが、
CBCに入社東京支社で同僚として仕事を始めた。
その時「玉音放送」を聞かせてくれた。
始めて聞いた天皇陛下の声しかも実に鮮明で雑音もない。
当時NHKの放送では「玉音放送」は雑音の中から聞こえる声であった。

寺田さんは「玉音放送」の複製盤を自宅に持っている。
そのコピーである。
寺田さんは終戦の八月頃は中継局勤務で放送会館にはいなかった。
戦後会館の録音室勤務となった。

戦後アメリカ軍将校に「玉音放送」録音盤の複製を依頼された。
当時の複製担当者春名氏と寺田氏は複製盤を三枚作成した。
その一枚は春名氏の録音盤、現在NHKで保存されている「玉音放送」である。
もう一枚が同僚だった寺田さんが預かった。
戦後十年経過した頃、「玉音放送」のテープに複製したコピーを
寺田さんから聞かされた。
複製盤は十回再生すると雑音で聞けなくなる。
いままで三回再生した。
現在NHKで放送される玉音放送より音は良質である。
録音盤の雑音は少なく天皇陛下の声が鮮明に録音されている。
このときはじめて玉音放送をゆっくりと聞くことが出来た。

戦後二十八年八月十五日午後二時、寺田さん保存の録音盤は、
CBCテレビ「ワイドショー&YOU」で放送された。
寺田さんの一生をかけた執念の昭和音風景「玉音放送」
録音盤コピーは、CBC資料室に保存されている。
寺田さんは平成十二年病気のため亡くなられた。

戦後三十年頃、友人から手書きの「戦争終結の詔書」のコピーをいただいた。
「玉音放送」を聞くときはこの詔書を開いて、難解な漢字文を目で確かめて聞く。
明解な理解が出来るようになった。

                    終り

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1 コメント

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玉音放送を聴く (落石)
2008-09-19 10:39:15
去年まで大学で玉音放送を
年に一回、教材にしてきました。

学生たちは、存在は知っているので、
それなりに興味を持ってくれました。

一字一字、意味を解説していくと、
なるほど、という顔をしていました。

案外、次世代に戦争を伝えるには
良い素材だと思いますよ。

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