九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

多分、時間稼ぎという結果でしょうか?  らくせき

2018年03月08日 09時38分20秒 | Weblog
今回の北朝鮮の態度は硬軟とりまぜてきたこれまでの外交政策からみて
時間稼ぎに終わるのではないでしょうか?

時間稼ぎに終わらせるか、どうか?は鍵をにぎっているのは
実は北ではなくアメリカなんですが・・・
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中田英寿のメモリー   文科系

2018年03月07日 13時47分15秒 | スポーツ
 〇六WCドイツ大会終了を待って、二九歳でサッカー界からの引退表明をした中田英寿のメモリーを記しておく。彼が日本サッカーにどれだけの革命をなしたかという諸事実の記録である。

 まず、彼のジャパン代表登場がどれだけ衝撃的であったかから、始める。
 九七年、フランスワールドカップ・アジア予選途中で絶望的な苦戦続きから加茂・代表監督解任という結末、窮地が訪れていた。前回の「ドーハの悲劇」を経て、「今回こそは、WC日本初出場!」という国民の願いが崩れかけていた瞬間である。この瞬間に、突如出現した新米の二十歳。チーム危機の中、実力でレギュラーをもぎ取り、あまたの先輩たちが即座に「チームの司令塔」と自然に認めて、その後数ゲームで日本初出場という結果を出して見せた「日本の救世主」。日本中を大フィーバーさせたのも当然のことだろう。この二十歳の出現がなければ、フランスでワールドカップ日本初出場という歴史自身がなかったはずなのだから。
 クライマックスとして上げられるのが「ジョホールバルの奇跡」、対イラン第三代表決定戦。得点したのは中山、城、岡野。この三得点それぞれへの最終パス(アシスト)は全て中田が出したものだった。

 さて、この彼、その後も日韓、ドイツと三回のワールドカップを、いずれも大黒柱として引っ張り続け、さらに希有のアスリートであることを証明し続けて見せた。これが、中田の二十歳から二九歳までの出来事なのである。そもそも「三大会連続出場」は他に川口、小野だけだし、「三大会レギュラー出場」ともなればもちろん、中田以外にはいない。こうして、その後の日本サッカーをワールドカップ常連国にまで引き揚げ続けた革命児と表現しても、サッカー界の誰一人反対できないという大選手なのである。

 サッカー選手としての彼は、そもそもどんな特長をもっていたか。
 二十歳の彼のパスは、「『追いつけ!』という不親切この上ないもの」と日本の評論家たちから総スカンを食った。が2年後にはもう、彼のパススピードでしか世界には通用しないとは、皆が認める事実となった。
「フィールドを鳥瞰していることを示すようなあの広い視野はどうやって身につけたものなのか?」
 こちらは、反対者のいない関係者全員が初めから一致した驚きの声だった。どんなプレー中でも背筋を伸ばし首を前後左右へと回してきょろきょろする彼のスタイルは、その後日本のすべてのサッカー少年の間に広がっていったものだ。正確なロングパスは正確な視野からしか発想できないのだから。
「人のいない所へ走り込まないフォワードにはパスをあげないよ」。これも今や、「フォワードは技術以上に、スペースへの走り込み、位置取りが全て」という、日本でも常識となった知恵である。これについては日本FW陣の大御所、中山雅史のこんな証言がある。
「中田が俺に言うのね。『そんなに敵ディフェンダーをくっつけてちゃ、パスがあげられない。どこでも良いから敵を振り切るように走ってって。そこへパスを出すから。そしたらフリーでシュート打てるでしょう』。俺、そんな上手くいくかよと、思ったね。でもまー、走ってみた。きちんとパスが来るじゃない。フォワードとして『目から鱗』だったよ!」
 この出来事が中田二十歳の時のことだ。十年上の大先輩によくも言ったり!従ってみた中山もえらい。中山のこの素直さこそ、三九歳の今日まで現役を続けられている最大の理由と、僕には思えるほどだ。封建的な日本スポーツ界では、希有なエピソードなのではないか。
 中田はまた、自分個人用のサッカー専用体力トレーニングにプロ入り以来毎日、汗を流し続けている。「走れなければサッカーにはならない」、「外国人には体力負けするなんて、プロとしては言い訳にもならないよ」。自らのプレー実績で示してきたこれらのことの背景こそ、このトレーニングなのである。

 さて、これら全ては今でこそ日本でも常識になっているものだ。しかし、中田はこれら全ての「世界水準」を二十歳にして、どうやって身につけたのか。「世界から習った」、「例えば十六歳で出会ったナイジェリアから」などと彼は述べている。ほとんど世界の相手を観察してえた「知恵」なのである。もの凄い観察力、分析力、練習プログラム考案力、自己規制!それら全てにおいて、なんと早熟だったことか!この上ない頭脳の持ち主が、観察のチャンスに恵まれたと語りうることだけは確かであろう。

 彼はまた、世の全てが媚びを売るがごときマスコミへの反逆者でもある。「嘘ばかり書く」、「下らない質問ばっかり投げてくる」と主張し続け、「こんなものは通さず、自分の大事なことはファンに直接語りたい」と、スポーツマン・ホームページの開拓者にもなったのだった。弱冠二一歳、九八年のことである。それも、日本語、英語、イタリア語だけでなく、中国語、韓国語版まで備えたサイトだ。国際人というだけではなく、アジアの星にもなっていたということなのだろう。
 他方、日本のサッカーマスコミは未だに程度が低い。テレビのサッカー中継でも、ボールばかりを追いかけているように見える。サッカーの神髄はこれでは絶対に見えてこないはずだ。この『ボール追いかけ』カメラワークは野球中継の習慣から来ているものだろう。野球はどうしてもボールを追いかける。その習慣で、サッカーでもボールを追いかける『局面アングル』が多くなっているのではないか。それにもう一つ、新聞などの野球報道でも、勝ち負け、得点者に拘りすぎているように思われる。サッカーの得点は、ほとんど組織の結果と言って良いのだから、フォワードよりも組織を写して欲しいと思うのだ。得点を援助したラストパス、いわゆる「アシスト」報道がないのも、日本の特徴だろう。

 ありがとう、中田英寿。僕をこれほどのサッカー好きにしてくれて。僕の生活にサッカーを与えてくれて。


 06年に書いたこれを再掲した今日、最後に付け加えたい一言がある。
 中田ほど世界トップ水準に這い上がった日本人選手はいまだに出ていないということだ。当時世界最強のセリエAにおける優勝チームのレギュラー・メンバーだったのだから。それも、同じチームのトップ下を争っていた相手が当時のイタリア代表の顔トッティだった。つまり、イタリア代表司令塔と同等の選手に登りおおせていたわけである。今で言えば、レアル、バイエルンあたりの中心選手という趣になるだろう。股関節を痛めて選手生命を早く下降させて行ったのが本当に悔やまれるのである。
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マスコミ報道の歪み(13)朝鮮報道、どうしても解せぬ観点   文科系

2018年03月06日 13時04分51秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 標記のことを今一度書いてみたい。

 まず、日本マスコミが南北対話・接近動向を嘲笑っているようにしか見えない
「北の策略に乗るだけとか」
「朝鮮半島の緊張責任をアメリカに負わせようとする北の策略」
 因みに僕は、後者の「アメリカ責任論」をばむしろそう観て当然の正しい見方だと考えてきた。その訳は何度も繰り返してきたようにこういうこと。

 今の戦争直前というような朝鮮半島緊張には、二つの原因がある。一つは言うまでもなく北の核。そして今一つは、アメリカによる「ならず者国家」指定と、そういう北は完全に破壊するとこの一年トランプが言い続けてきたこと。なお、この二つの現情勢における比重、論理的関係は、誰が考えてもこういうもの以外ではあり得ない。
①核を持っているからと言う理由で戦争を仕掛けて、その国を潰して良いということにはならない。
②同じ「ならず者国家」イラクは核も持っていなかったが、「大量破壊兵器所持」で潰された。その所持も実は嘘だった。こうしてつまり、アメリカは核に関係なく「ならず者国家」は潰すという習性を持っているのだ。


 とこう見てくれば、戦争直前という地点まで今の朝鮮半島緊張を高めたのが北ではなくアメリカであることは、誰が見ても自明ではないか。日本のマスコミには、こういう観点が全く欠落している。そもそも「ならず者国家」を潰すという米論理が、半島緊張報道、解説のどこにも出て来ない。だからこそ、今の朝鮮緊張をイラク戦争の「先例」とは全く関係づけもしないのである。
 そこを僕はこう述べてきたわけであるアメリカを免罪している。核を持っているだけで戦争を仕掛けても良いとしているのと実質同じ論理となる。「隣国の韓国が、同朋との戦争は嫌だと振る舞うその気持ちを嘲笑っているにも等しい」などなど・・・。


 さて、以上のこんな自明の論理を分からぬ大人は少ないはずだ。なのに日本中のマスコミが分からない振りをしているとしか僕には思えないのである。マスコミにバイアス(どこかから、大きく、斜めに掛けられた大偏向)が掛かっているとしか解釈できないものである。
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随筆  ハーちゃんと黒猫    文科系

2018年03月05日 14時26分33秒 | 文芸作品
 間もなく十か月になる孫のハーちゃんは、わが家の黒猫・モモに異常な関心を有している。まだハイハイができなかったころからのことだ。そして今続いている場面は。

 わが家に来訪中(週に三~四度は来ている)にモモの声が聞こえたとする。たちまち顔色が変わる。いつも笑っている彼女が急に目をしかめ加減にして、一種厳粛な表情、体勢を浮かべる。大人で言えばさしずめ「今、何か重大事態が起こった」と、そんな感じだ。その顔で、辺りをきょろきょろ見回す。モモの姿が見えようものなら一騒動だ。猛烈なハイハイで追いかけていく。たいていは「オー、オウ」という感嘆詞を伴いながら。この迫力にはおおいに迷惑そうなモモの方、ささっと逃げの体勢に入り、たいてい最後は二階へ跳ねて行ってしまう。階段の下のハーちゃん、未練たらしくしばらく二階をのぞき込んでいる。その厳粛な表情を崩さないままで。
 仕方がないから、連れ合いが二階からモモを連れてきて、首輪を保持して抱え込み、座り込むとする。ハーちゃんは例の表情を崩さず、文字通りに「迫る」迫力で急接近だ。このときもおおむね「オー、オウ」が付いている。さてそれなら目の前のモモに触るかというと、これがなかなか。モジモジというか、コワゴワというか、とにかくあまり触らないし、手を取って触らせても指先だけで毛先に触れるようなもんだ。触りたくてしかたないのだけれど、触るか触らないかというこの動作にまた、みんなして笑っている。
 こういう同じことが飽きもせず、慣れもせず、もう一か月も続いてきた。

 さて、そんな一か月の結末としてこのごろ起こったことが、これだ。
 例えばハーちゃんの家というようにモモがいない所で、僕が「ニャーォン」とやる。するとハーちゃん、たちまち例の表情、体勢に変わって、辺りを探し始める。彼女の目の前であえて見えるように動かしている僕の口から出た声だなどとは露ほども思わない様子できょろきょろしている。それほどに、モモの印象が強すぎるということなのだろう。「声が出た方向」とか「目の前で動かしているこの口から声が出ている」ということなどが、まだ分かっていないのかも知れない。こんな場面、反応がずっと続いたあと、面白いことが起こった。それは、僕の「ニャーォン」に対して、「お前の声だ」とばかりに僕を見つめるようになった二、三日あと、数日前のことだった。
 モモを目の前にした時のハーちゃん自身が、その擬声を発したのである。それも下手なものだが、二種ばかりを何度も。一つは、「ギャワン」と鋭い感じで、もう一つは「ギャーワーン」と間延びした感じといえようか。この擬声は多分、彼女が最初に覚えた言葉の一つだ。慣れ親しんできた大事な大事なママ、その呼び名とほぼ同じころに出たのだから。彼女にとって、モモの印象がそれだけ強烈に続いてきたということだろう。
 そして昨日驚いたのがこれ。穏やかで柔らかい「ギャワン」が連発されているのである。「ヤッター」とか「イイネ」とか、何か嬉しい心を表わす歓声のように。


(2011年夏の同人誌月例冊子に初出)



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随筆紹介  悲鳴    文科系

2018年03月04日 14時15分08秒 | 文芸作品
 悲鳴 Ⅱ  S・Yさんの作品です


 年齢も分からずに、汚れて弱った状態の犬を保護してから一年近くになる。
 保護犬は飼うのが難しいと聞いてはいたが、やはり想像以上に大変だった。繁殖だけに利用されて他の世界を全く知らないので無理はないのだが、それでもこの犬の脅える様子には毎日やりきれなくてため息がでる。
 おすわりが出来ないのにも驚いた。繁殖以外は閉じ込められていたせいなのか、立つか伏せることしかできない。一切遊ぶこともしない。というより何も知らないのだ。日がな一日中、伏せたままで前足を揃えて爪を噛むか毛づくろいをするだけ。あとは自分用のマットをひたすら掘るように掻きむしっている。絨毯やマットが剥げて破れるので何度も交換しなければならない。叱ったら、なにも食べなくなってしまった。躾もむずかしい。
 そして、未だに抱っこしようとすると小さな悲鳴を上げ、強い力でカチコチに固まってしまう。何もかもが理解しがたく、犬好きな私たちでも戸惑うことばかりである。
「この犬には何の罪もない。こうさせてしまったのは人間なのだから」自分に言い聞かせてはいるが、それでもコミュニケーションがとれないことに、つい苛立ってしまう。
 身体も不具合が多いので手術を予定していたのだが、フィラリア感染が判明した時点で全てキャンセルになった。いまはその治療を続けているが、おそらくは長生きできないだろう。
 私たちは腹をくくった。お金も手も掛かるが、残されたこの犬の余生は、できるだけ穏やかに優しく寄り添ってやることにした。
 幸い散歩は気に入ったようで朝、夕、夫と嬉しそうに出かけていく。その姿を見送りながらほっとする。犬らしくなった。嬉しいことにちかごろ散歩の途中で出会う犬に、気が向くとかん高くて細い声だが吠えて挨拶をするようになったという。
 そして最近気が付いたのだが、犬に操うつ病があるのかは知らないが、この犬はそれらしいことを繰り返す習性がある。私たちにも慣れて食欲旺盛で元気いっぱいかと思うと、突然ベッドから起き上がろうともせずに一日中何も食べない日もある。最初は戸惑ったが、何度か繰り返すので、私たちにはわからないようなトラウマが周期的にあるのだろう。無理強いせずに自然体で見守っていくしかない。犬の寝顔を見ながらそう思う。
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随筆紹介  悲鳴 Ⅰ  文科系

2018年03月03日 13時03分51秒 | 文芸作品
   悲 鳴 Ⅰ    S・Yさんの作品です


 ひょんなことからまた犬を飼い始めた。
 以前飼っていた犬たちが亡くなって二年、もう飼うまいと決めていたはずだったのに。寂しくはあるが、犬の面倒な世話がない生活、それにも慣れてきていたというのにだ。
 始まりは県外にある動物愛護団体に行った時だった。近くに犬のケージを積んだトラックが停まっていた。荷台に、臭くて汚れた小さな黒い犬がうずくまっていた。まだ愛護団体も手をつけてない、たぶん処分される犬たちのうちの一匹だ。まったく元気がない。見過ごすことができなかった。
 後々、衝動的に連れ帰ったその犬を見ながら「なんてことだ!」幾度自分にも、社会にも舌打ちしたことか。虐待を受けていたその犬は人間を信用していない。脅えきっていて目も合わさず、体中が震えている。心を閉ざしたまま、わが家のリビングのケージ(大型犬用なのでかなり大きい)の隅っこで這いつくばっているだけ。食欲もない。
「ごめんね、環境が変わったから怖いよね。大丈夫だよ。でも、身体を洗わせてね」
 とにかく臭いのをなんとかしたい。終始震えてはいたがシャンプーはなんとかできた。しかし、耳はまるで粘土を詰めたように耳垢でいっぱい。しかも片耳は折れている。爪も猛禽類のように伸びている。足裏は毛で覆われて肉球が見えない。これでは歩くこともままならない。
 犬の爪には血管が通い、爪を切らないと血管も伸びる。下手に切ると血管をも切ってしまう。病院に連れて行きたいが、脅えているので大丈夫だろうかと不安が先に立つ。

 この雌犬には名前がなかった。年齢もわからない。ブリーダーに繁殖用に飼われていたと聞いた。長年にわたり何度も何度も子どもを産まされたあげく、しだいに産む数が減ってきたので不要になったのだとか。繁殖の時期だけはまともな餌を与えられたが、普段はろくに食べさせても貰えずに、狭い劣悪な環境に閉じ込められていたという。名前の代わりに番号が付けてあったと、トラックの運転手は言っていた。

 うちに来て三日目、やはり食べないので夫と動物病院へ連れて行くことにした。ぶるぶると脅える犬に「大丈夫だよ、大丈夫」と車の中で背中を撫で続ける。ほんとは抱きしめてやりたいのだが、抱こうとすると猛烈に暴れるのだ。抱かれることに異常なほどの恐怖心を持っている。
 評判のいい病院を選んだ。男の人を怖がるので担当は女医さんになった。「この爪では歩けないよね」やはり血管が伸びきっていたので、医師は止血しながら爪を切り、足裏の毛をバリカンで刈った。肉球が出てきたが、後ろ足指を骨折していた。耳掃除だけで一時間、炎症を起こしている。歯槽膿漏で歯もボロボロ、食べられないはずだ。歯石除去と抜歯をしなければならない。入院になるそうだが、予約が二カ月先までとれないので、ドッグフードは柔らかいものや缶詰にすることにした。
「ペットショップがあるのは日本だけですよ。生き物を商品のように店頭販売するなんてねえ」。治療をしながら医師が言う。だから悪質なブリーダーが商売にしてしまう。店頭で高額で売られている犬は当然売れ残る。値下げして売る場合もあるが、大半は殺処分される。それも子犬はほとんどが餓死させられるそうだ。命の扱いが間違っている。この国は法治国家で文明も進んでいるのに、なぜこんなに野蛮なのだ。他国のように、需要があってから注文に応じて繁殖させるという法を早急に作らねばならない。
 私は怒り心頭だ。
「ところで名前は付けましたか?」医師はカルテを作らねばならない。
「あっ、『すず』にします」

 すずは、ほんの少しずつ私たちに慣れて来た。うちに来るまで閉じ込められていたので、外の世界を知らない。名前を呼ばれたこともない。尾は根元から切断されていたのでしっぽを振ることもなかった。何もかもが初めてで震えてばかりだったが、一カ月もすると、夫と散歩ができるようになった。どうやら散歩は気に入ったようだが、帰ってくると自分のケージにまっしぐらで、相変わらずケージに入ったまま出てこない。
 ある時、すずがケージに向かいながらテーブルの下で立ち止まった。同時にたまたま夫が何か喋りながらテーブルに近付いてきた。と、すずがヒィーというようなかん高い声を上げると海老のように背を丸めて走り出し、ソファや椅子にぶつかりながらケージに飛び込んだ。そのままワナワナと震えている。唖然として私と夫は顔を見合わせた。言葉が出てこない。今の今まで夫と散歩に行っていたのに、なぜ急に夫に驚いたのか? おそらくテーブルの下からは夫の腰から下しか見えず、太い男の声がしたので驚いたのだろう。恐怖のトラウマがあるのだ。
 いったい何があったのだ? 犬が悲鳴をあげるなんて、私ははじめて聞いた。すずは今までどんな怖い思いをしてきたのか? 胸を突かれた。
 守ってやろう。なんとしてもこれから先は守ってやろう。
 すずと暮らし始めて二カ月になるが、あの時の悲鳴以外、声を開いたことがない。一度も吠えない。長年の恐怖生活で声も失ったのだろうか。


(もう一回続く)
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「慰安婦」の最終的・不可逆的解決?   文科系

2018年03月02日 02時04分54秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 1日の夕刊にも、こんな記事が載っていた。見出しは
『「慰安婦問題は人道犯罪」 独立式典 文氏「竹島」も批判』
 記事中にはこんな文章もあった。
『(文氏が日本に)あらためて反省を促したことで、日本政府の反発は必至だ』
 同じ記事中に当然『日本政府は抗議』との中見出しがあって、管官房長官のこんな声も載っていた。
『最終的かつ不可逆的な解決を約束した日韓合意に反するものであり、全く受け入れられず極めて遺憾だ』

 この「最終的・不可逆的解決」約束の理解は、そんなに単純な分かり易いものではないと僕は考えてきた。そもそも、慰安婦問題の解決って、何? 韓国政府が何かを要求したり、抗議したりはしないということ? なら多少は分からぬでもないが、でも、こういう問題は残るはずだ。

 政府でさえ、こういう歴史関連式典行事などで過去を振り返ること。さらには、韓国民間団体、個人や、学者らが、折に触れて韓日の歴史問題としてこれを研究して、発表、提起というようなことは。別に何か補償などを要求するということではないこういう事ならば、学問、思想、言論の自由で、政府が止められるものでもない。むしろ、政府も含めて思想表現の自由に属することまでを縛るというのなら(そういう日韓合意の解釈をするならば)、それは別のもっと大きな法に違うことになるはずだ。そして、こういう表現の自由と「韓国(政府)による抗議」との境目は意外に難しいのではないか。

 慰安婦像設置だって、そういう歴史的重要事実に関わる表現の自由とも言える。大使館の横に設置されてさえ、何か別の法による正当な撤去理由がないならば、文句は言えないはずだ。慰安婦問題での当時の日本政府の二つの文書をこの2月17日などここでも紹介してきたが、当時の日本政府が関わった大々的な慰安婦制度に朝鮮の少女たちも多く動員されたという歴史的事実は消えないのだから。 
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日本官僚の鏡たち・・・?    文科系

2018年03月01日 10時05分10秒 | 国内政治・経済・社会問題
 本日直前のエントリーで、駐米大使・佐々江憲一郞氏の脳天気さを描いた。佐川国税庁長官が世の話題をさらっている今でもあることとて、日本官僚の「上にはヒラメ」にして、「国民には傲岸不遜」という言動をもう一例上げてみたい。以下は、安倍政権の下で新設された国家安全保障局の初代局長に就任した谷内正太郎氏が、13年の中日新聞ロングインタビューに語ったすっとぼけた言葉を論評したものである。以下に証明するように本当にすっとぼけた内容を吐いているのに、ご本人だけがそのことに気づいていないというのかどうか、笑えてくる話なのである。
 

『 なんと愚かな「国防」人事! 文科系 2014年01月16日 | 国内政治・時事問題

 新設された国家安全保障局の局長に、谷内正太郎氏が着いた。去年新春の中日新聞で、内閣官房参与(元外務次官)として以下のようなインタビューを語った人だ。その末尾のこんな言葉から彼の人格が分かるのだが、こんなイーカゲンな人が国家防衛の中枢?! まるでペテン師のような人格、お人だと思う。こんな人物を内閣の「目玉」新施策の責任者にする?! 日本、安倍内閣って本当にトロイ国、政府だなと思うしかない。
(中略)
『集団的自衛権については、自らが攻撃された時は他の国に助けてもらう、その国が攻撃された時は「われ関せず」という態度は責任ある大国としてありえない。集団的自衛権は国家の品格、品性に関わる問題だ。米国も、そのような日本の貢献を期待している』
 谷内氏は「国家の品格、品性」などと語ったが、相手を見て物を言えと言いたい。
 最近の米国というのは、嘘の理由で国連の反対を押し切って有志国だけでイラク戦争を起こした国だ。この戦争で無数の自国、他国の50万人だかを殺し、後になって大統領が『あれが嘘だとは全く知らなかった』とテレビで堂々と泣き言を語った国だ。因みに、我が日本政府・外務省は、嘘の理由に丸め込まれて参戦し、莫大な出費で今問題の国家累積赤字をさらに積み上げることになったのだが、なお「もっと汗も血も流せ」などと侮蔑的言葉まで浴びせられたのだった。こんなふうに二重に踏みにじられた侮辱について、外務省などからその後、何か釈明とか、相手への抗議でも、あったっけ?

 さて、こういう相手に「国家の品格、品性」をもって対せなどとは、馬の耳に念仏、蛙の面にナントカで、一銭つぎ込む価値もないどころか、ペテンに掛けられるのが落ちというもの。谷内さんに尋ねたい。集団的自衛作戦に品格をもって付き合っていく今後に、またしても嘘の理由で戦争を起こされて、日本や世界の若者などが「嘘の大義」のために殺されることはないという保証がどこにあるんです? そういう保証をどこで確認できたのです? 当方が品格をもって遇するべきは、品格のある相手でしょう。こんな重大な背信行為国相手に「国家の品格、品性」を国民にお説教とは。貴方のこの言葉、まるで騙りのようなものだ。

 さらに加えるに、こんなトロイ言葉を新聞という公器でもって不特定多数国民に説いて恥じないこの神経! これは、凄く意識して国民にお説教しているのである。これほどアメリカにコケにされてもなお「着いていきます」と応え、「それが品格(婦徳)だ」と子ども(国民)に説く健気妻! 放蕩亭主アメリカにすがりつき続けるどんなアホ妻なのかと、その顔が見たくなった。こんなのが、外務次官! 外務省ってこんなのばかりなのだろう。一時マスコミで騒がれたことだが、ほとんどの国の日本大使館に超高級ワインを山のように揃えて国家の金でただ酒飲んでいると、こういう人格が育つということだろう。それにしても、恥知らずである。』 
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米先制攻撃への現実的恐怖  文科系

2018年03月01日 00時18分36秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 対北朝鮮の、アメリカ先制攻撃が現実になりつつあると考え始めた。その重大徴候を上げてみよう。
①近年のアメリカが「ならず者国家」を潰すというのは、アフガニスタン、イラクで証明済みである。今の「ならず者国家」筆頭の北朝鮮についても「完全に破壊する」とトランプはこの1年繰り返してきた。さらには、「対話を受けるなら核放棄が前提」と述べてきたが、北がそういう対話の席に着くとは到底思えない。

②中国は既に北朝鮮の核放棄説得を諦めている。さらに、北との国境沿いに難民キャンプの準備を始めたようだ。

③この27日新聞は、アメリカのこんな悲観的情勢を伝えている。国務省北朝鮮担当特別代表ジョセフ・ユン氏が、3月2日付けで辞任すると米国務省が明らかにした。オバマ前大統領が北朝鮮の核・ミサイル問題をになう特別代表に任命して以来、この任に当たってきた「対北対話派」筆頭の人物である。このことを、トランプ大統領府に対する不満表明だと報道するアメリカ・マスコミが多い。トランプ政権になって1年、外交の府・国務省が政権から疎外され始めたことへの「やってられない!」といういくつかの報道の一つなのである。

こういう情勢を前にして、日本政府の対応の何とトロイことか! 「瀬取り取り締まり」に世界一熱心で、米韓ももっと熱心にやれとけしかけている始末。安倍首相がまた、わざわざ韓国大統領にこう念押しをした。
『韓米軍事大演習を延期するな』
 外務省駐米大使・佐々江賢一郎は27日のその離任関連記者会見で、上に述べたジョセフ・ユン辞任に関わってこんな脳天気を語っている始末。
『驚いた。朝鮮半島問題の専門家で、これから重要な局面に差し掛かる時点で辞めるのは残念だ』

 これらの日本政府関係者は、本当に北が核放棄に応ずると考えているのだろうか。そんな事が考えられるはずがないのである。ありもしない「大量破壊兵器」の罪状で潰された「ならず者国家」イラク・フセインを観てきた以上は、北が核を放棄するはずなどないと、僕は断言したい。

 こうして結論。北は核を放棄しない。アメリカは核に関係なく「ならず者国家」にはチキンレースを仕掛けた末に、これを潰す。

こうした情勢を捉えているのかどうか、日本政府の何と脳天気に見えることか。沖縄やソウルに核が飛んでくるかも知れないのに、自分らは関係ないような顔をして、世界一熱心に対北朝鮮特別制裁にせっせと励むばかり。おまけに前記の佐々江駐米大使は、27日記者会見でこんなことまでを語ったそうだ。
『(佐々江氏が駐米大使に就任した2012年以来、日米)同盟関係は深化し、拡大した。活発に首脳会談し、かくも充実したやりとりが行われたことはかってなかった』
 その「充実」の最大「結実」が北への米先制攻撃実現への日本の寄与だとしたら、これは飛んでもない「充実」と言えないか? 前例踏襲だけで育った官僚らは、非常時にはかくも脳天気という証明になる。それとも、沖縄に核が落ちようがソウルが戦乱に沈もうが知ったことではないと、僕らは首相の顔色だけを見ているよと、そんな姿勢ということか? とはまた、立派な官僚の鏡! 
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