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慢性的恐慌世界  文科系

2018年03月29日 10時35分24秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ケインズやマルクスが恐慌を資本主義の最大問題と見て格闘したのは、株価や「景気」などよりも、定期的なように起こる失業者激増問題があったからである。失業者激増ほど、犯罪とか人心の荒廃などいろいろに社会を荒らす問題はないからだ。ヒトラーや東條の台頭も、一九二九年の世界大恐慌以来の失業問題が無ければあり得なかったこと。日本の「満蒙開拓」などの社会的機運も同じことだろう。ところが今は、銀行倒産は国が救うが、失業や不安定雇用問題はほぼ放置と言える。スペイン、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、アイスランドや、アジア・アフリカ諸国。若者を中心に膨大な失業者を何とも出来ない国があるのだから、リーマンショック以降はもう世界恐慌である。それらの国々に世界の諸問題が特にしわ寄せされてきたわけだ。
 銀行倒産は国家が即座に救うのに、若者の失業者放置って、どういう理屈で続けられるのだろうか。失業者が多い国家が無力だから仕方ない? 否、現代の失業者は、マネーゲームによって生み出される。九七年のアジア通貨危機から、タイ、韓国、インドネシアに大失業者群が生まれ、ギリシャがゴールドマンなどの世界的金融資本に食い物にされたとかも、知る人ぞ知る有名な話だ。
これらの問題は、どうしようもないことなのだろうか。近年の世界経済について、その転換点以降現代までの推移をいろんな経済本からざっと書き出し、振り返ることを通じて、その淵源を探ってみたい。参考文献は、省略させていただく。

 
 七一年にいわゆるニクソンショック。金本位体制を崩して、世界的に変動相場制に移って行くことになる措置だ。直後には、対円などでドルが世界的に値下がりし、他方、七三年原油価格暴騰が起こる。さらには、戦後世界経済理論を最も騒がせたスタグフレーション現象が強調され始めた。「景気の停滞下で物価上昇が続く」「物価上昇と失業率の上昇とは併存しない」という当時までの世界的経済理論ケインズ経済学では説明できない現象と言われたものだ。新自由主義として有名なサッチャリズムが七九年に、レーガノミックスは、八一年に始まっている。八十年代は「アジアの時代」とかジャパンマネーの時代というのが定説だ。七九年には経済協力開発機構でアジアが注目され始め、以下十国が「NIES」ともてはやされた。韓国、台湾、香港、シンガポール、ブラジル、メキシコ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ユーゴスラビア。八十年代に入るとこのうち南欧や南米が落ちて、アジアNIESが急成長を遂げていく。以上の八十年代動向は同時に、アジア唯一の先進国・日本が、「アメリカ」をも買いあさった「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代とも重なっている。

 九十年前後に起こった社会主義国崩壊から以降、民間資金が各国に流入して、様々な猛威をふるい始める。それにともなって各国に通貨危機が連続して発生していくことになる。九四年メキシコ、九七年東アジア、九八年ロシア、九九年ブラジル、〇一年にはトルコとアルゼンチンなどだ。いずれの国も、短期資金の突然の流出で資本収支の赤字から困窮しつくすという特徴を示した。ちなみに九八年世界決済銀行の四三カ国調査にこんな数字があった。市場為替取引高は一日平均一・五兆ドルで、年間五百兆ドルと。九五~六年の世界貿易高が五兆ドルであったのを考えると、もの凄い数字ではないか。「カネがモノから離れた」マネーゲームに対して識者たちから警鐘乱打が発されることになる。もちろん、こういうゲームの主人公たち自身からも破綻者が現れた。九八年にロシア通貨危機でロングタームキャピタルマネージメント、〇二年にエンロンの倒産である。いずれもデリバティブ、金融派生商品の失敗によるものだった。
 そして〇六年十二月に兆し始めたサブプライム住宅ローン・バブルの破裂。百年に一度の世界経済危機と言われたものである


 さて、初めに提起した世界の失業・不安定雇用問題に、この簡単な世界経済史のどこが、どう繋がったか。一言で言えば、先進国のマネーゲームが世界の現物経済を支配し、人件費比率大幅カットによって、これが始まった。さらには世界の余剰資金をかき集めるべくバブルを世界に形成しては破裂させたことによって。現物経済と言っても株式だけではなく、土地、金融派生商品、さらには国債売買や為替から起こる通貨戦争までを含んだものである。この戦争の結末をば、ある学者は国際通貨基金〇八年の調査結果を使ってこう描いている。
『一九七〇年から二〇〇七年までの三八年間に、二〇八カ国で通貨危機が、一二四カ国で銀行危機が、六三カ国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国、新興工業国、開発途上国を問わず、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです。これに対し、第二次大戦後一九七〇年以前の時期には、国際金融危機や大規模な一国金融危機はほとんど発生していません』(岩波ブックレット一二年刊 伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授「金融危機は再びやってくる」)
 こうして、日米など人件費が高い先進国は、貿易収支の赤字をばマネーゲームで穴埋めする状況さえ現れた。その陰には、民生に使う社会資本さえ奪われた国々。これでは、世界経済の良い需給循環など起こりようがない。よって、日米の公的累積債務もそれぞれ一千数百兆円、八千兆円。この世界、一体どうなっていくのか。
 ケインズが生きていたら驚嘆して、こう叫ぶだろう。
「こんな豊かな世界に失業者、不安定雇用者がこんなに居るとは! 私には予想も出来なかった未来である」

 新自由主義経済学では、ケインズを社会主義的と言う向きもあるが、どちらが狂っているのだか。
コメント (9)
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「よたよたランナーの手記」(219)インフルと回復  文科系

2018年03月29日 09時30分11秒 | スポーツ
 前回3月11日に、インフルB型からの再出発を書いた。77歳になる年寄りランナーにとっては、多くなる病気からの再出発が本当に大変。いつか来るはずの「もう走れない人生」とは、これに失敗した時なのだろうと想像できるほどだ。

 今回のインフルからの再出発はこうなった。以下それぞれの外走り走行距離は8~9キロというところだ。
 3月1日(キロ7分21秒)走行の直後に発病し、寝てばかりいて10日間。初めて走ったのが10日で、キロ8分もかかった。つまり、「辛い、もう走れない」という感じで、ヨタヨタもがいてきただけ。以降3日3回の階段往復(わが家の18階段を平均80往復ほど)で体力回復に努めたが、次に走った23日もやはりキロ8分。10日よりも平均歩幅が2㎝伸びた82㎝が、辛うじて前進。ところが、階段往復1回を挟んで次に走った5日後の昨日28日には急に回復していて、キロ7分11秒で回って来られた。歩幅も89㎝と伸び、平均心拍数も落ち着いて145。10日寝るとその回復にはその倍ほどの日数がかかるという発見ができたわけだが、そんな回復努力はとにかく苦しい。階段登りはともかく、初め2回ほどの外走りが苦しいのである。ただし、こういう病気・復活体験からは、本当に大事な智恵が得られた。

①今の僕は、10日も(完全な筋肉)ブランクがあるとラン断念寸前になる。
②がしかし、身体に合った回復トレーニングに努めると、倍の日数ほどで復活できる。
③復活のための方法は、階段上りのような心拍数130ほどまでの下半身運動30分以上を何日も重ねつつ、3回ほど外を藻掻き走ること。すると、心肺機能が回復するらしく、それゆえに苦しくなくなるようだ。
④階段往復はランと違って楽だし、疲れが残らないから、中1日おきほどでやることも出来る。そうすれば、回復はもっと楽で、早いかも知れない。

 雨降って地固まる。乗り越えられないかも知れないという回復困難からも、「今の復活方法」が学べるものだ。こういう体験を重ねて行けば、案外90歳以上になった時でも走っていられるのかも知れない。回復、復活の道がどんどん細くなっても、細いその道を発見することが大事なのであって、「もう年、限界なんだろう」とは言わないようにしようとまた自戒したものだ。
コメント (6)
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