『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐霧矢大夢さん
(公演プログラムより)
「‐向き合うたび自分自身の生き方も考えさせられる作品‐
宝塚に入るまで『エリザベート』を観たこともがなく、受験スクールで周りが皆歌っている<私だけに>を聴いて、いったいどんな作品なんだろうと思っていました。音楽学校の予科性の頃、星組版を全員で観劇する機会があり、一人の女性の生き様を描く、娘役が輝く作品に憧れるようになりました。宙組で初舞台を踏み、引き続き宙組版の宝塚大劇場公演だけに出演したのですが、姿月さんと花總さんの迫力ある演技を稽古場で間近で見られたことは、後に自分が演じる上で大きかったなと思います。2007年に水さんとのトップコンビお披露目公演でエリザベートを演じましたが、役柄に向かっていくのと同じくらい、宝塚の娘役としての理想像、理想のコンビ像といったものが自分の中にあって、娘役としての理想像より、エリザベートを強い女性という風に感じ、気負ってしまった部分がありました。この年、ウィーン版の来日公演があり、スタッフの方に、エリザベートを悲劇のヒロインやシンデレラのように演じないでほしいと言われたことも印象に残っています。2012年のガラ・コンサートに出演した時、少し自由になれた気がしたんです。想像だけで頑張っていた20代の現役時代、少し経験を積んだ前回、そして女優として新しいことに向かっていっている今と、『エリザベート』という作品と向き合うたび、自分の生き方がどうなっているんだろうということも考えて興味深いですね。9年ぶりに水さんと組ませていただく回もありますが、今の水さんがどのようにトートを演じられるのか、それに対して自分がどう感じるのか、今の自分はこうしてみたいという意見ももっと言ってみたいと思っていて、経験を積むほど広がっていく役柄ですし、昔より自由に、地に足をつけて生活している今、苦しみやつらさを乗り越えて生きようとしている生身の人間、かれども皇后という存在を、より人間らしくリアルに演じられたなと思っています。」