『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐大空祐飛さん
(公演プログラムより)
「‐在団中に演じたエリザベートが女優としての今に繋がっている‐
雪組初演が衝撃的で、歌が上手い人しかやってはいけない作品という印象があった『エリザベート』。4組目の花組版でルキーニを演じた時は、急に番手が上がり、ソロをいただくようになったばかりの頃だったので苦労しました。人とあまり絡まない役で、ここで自由に演じてと言われても難しい。ひたすら孤独な闘いでしたが、ひとつの絵画を見せる役と捉え、その絵の中に自分も入ってみたり、客観的に見せたりということを心がけました。月組に組替え後、すぐにエリザベートを演じることになりましたが、これが退団公演だった彩輝輝さんの器の大きさあってこそ飛び込んでいけたと思います。役柄としても孤独だし、女役として歌い、演じることは本当に大変で、退団覚悟で努力して。女優として今やらせていただいているのも、あの経験あってこそだと思いますね。2009年にはトートを演じましたが、人間じゃないってこんなに心情的に楽なんだって。エリザベートは笑いたい時に笑えない、心が壊れそうな時も皇后としてしゃんとしていなくてはいけないけれども、トートは自由。ルキーニの時より自由に演じることを楽しめていることに、自分自身、成長なのかなと感じました。エリザベートを演じ、トートはエリザベートが心の中で生み出した存在であると捉えていたからこそ、彼女の心情に沿うトートでいることに徹しました。当時のメンバーとまたできるのが嬉しいし、人生経験を積んだ中で増えた引き出しが、お互い際立てばいいなと思いますね。退団後、東宝版でエリザベートも演じましたが、演者を成長させてくれる作品の素晴らしさを感じます。20周年記念のお祭りとして楽しんでいただくとはいえ、お祭りというだけではできない作品。やるからには真剣に向き合い、きちんと挑戦して学んでいきたいですね。」