『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐朝海ひかるさん
(公演プログラムより)
「‐作品が持つひやっとした空気を今回のコンサートでも感じられたら‐
『エリザベート』には大変そうな作品という印象がありましたが、2007年の雪組公演でルドルフを演じることになり、やはり死ぬほど大変でした。ルドルフは二幕の15分の出番だけで表現しなくてはいけない役。しかもこの時、本公演で初めてソロをいただいた私は、できなさすぎて、小池先生から非常に厳しいダメ出しをいただきましたが、今思えば、自殺を選ぶルドルフの気持ちをもっとわかってほしいという気持ちがこめられていたのかもしれません。その時気tがついたら窓の前に立っていたりもしましたが、ルドルフを演じたなかで同じような状況になった方の話を聞いたこともありますし、そうなることの多い役なのかもしれません。ルドルフを演じて以来、『エリザベート』恐怖性になり、観に行っても、オープニングの曲を聴いただけで心臓がハクハクしてししまって。宙組トップ時代に『うたかたの恋』で再びルドルフを演じましたが、違う描かれた方の作品なのにまた大変な思いをして。『エリザベート』のルドルフは明るいところが一切なく、父と喧嘩し、革命に失敗し、父にも母にも見捨てられる。そのイメージがあまりにも強く、人として存在することができなくなってしまって、普段なら立ち稽古の二日間で覚えるセリフを『うたかたの恋』の時は一週間経っても一行しか覚えられず、周囲に心配されましたね。
歌稽古で久しぶりに楽曲に触れましたが、<僕はママの鏡だから>は、やはりカウントが取りづらい、難しい歌だなと。下でトントン鳴る音が心臓の鼓動を表し、ピアノの音が精神不安定さを表す、そしてルドルフの歌唱はピアノと気持ち良く合ってはいけない、それが彼の精神状態を表しているからと、リーヴァイさんがおっしゃっていたことを思い出しました。舞台の空気もひやってしていなくてはいけない作品ですが、今回のコンサートでも空気を感じつつ、2007年の雪組メンバーでの公演もあるので、懐かしくてご覧いただけたらと思います。」