『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐白羽ゆりさん
(公演プログラムより)
「‐エリザベートを演じてよりつかみやすくなったルドルフの思い‐
『エリザベート』は、雪組の日本初演を観て「宝塚でこういう作品ができるんだ!」と、一劇団員としてショックを受けました。ロック・ミュージカルも初めてでしたし、新しいミュージカルの幕開けを目の当たりにした思いがありました。宙組公演でルドルフ役を演じた時は、史実に基づいてファンタジーをも取り入れた作品の奥深さを感じました。曲の素晴らしさもあって、演じていると「現実なのかフィクションなのか?」と思うくらい入り込んでいる自分がいるんです。ルドルフを演じていた時、川の近くにすんでいたのですが、川に飛び込もうかと何度か思いましたね。川に吸い込まれる感じというか、暗闇に自分の魂が磁石のように吸いついていく感覚。それを味わいたくて、川をずっと眺めていたのかもしれません。トートと歌う〈闇が広がる〉も、甘くロマンティックな時間というか、ぎりぎりなところで感じるセクシーさがありますよね。
退団後、東宝版でエリザベートを演じましたが、宝塚版とは視点も違い、より人間ドラマが色濃く描かれています。そこから2012年のガラ・コンサートでルドルフ役に戻った時には、母の気持ちもわかりつつ、その母から生まれた息子の気持ちもさらにつかみやすくなりました。エリザベートはトートと闘いつつも生きていった強い女性。ルドルフはさまざまな感情を繊細に受け止めたところが悲劇なのかなと感じます。最初にルドルフを演じてから18年、これほど長い年月をかけて取り組んできた作品はほかにないので、やはり思い入れがありますね。楽曲も、ここはこういう意味で流れていて・・・と一つずつ分解して聴くと、役について本当に深く把握し作曲されているのがかわり、何度聴いても飽きない魅力がありますね。今回はフェスティバル的意味合いもあるコンサートですし、楽曲の素晴らしさを伝えることで『エリザベート』の魅力をより楽しく感じていただけたらと思っています。」