巨大企業アップルに対しては米国で生産してないので雇用増に寄与してないと言われ続けてきたが,今度は海外の関連企業に利益を貯めて米国での法人税を意図的に少なくしていると米国議会で追及された。以下、ニューヨークタイムスの記事を紹介する。
かねてからEUでは英国を中心にスタバ、アマゾン、グーグルが節税技術を駆使し殆ど税金を払ってないとクレームを付け、事業規模に合った法人税を払うべきと社会的な問題になっていた。今回は法人税2%の条件でアイルランドにアップルが子会社を設け、そこに利益を移転させていたことが議会で問題となった。
皮肉なことに,アップルが株主の要求に応じて配当をすることになったが海外の子会社から米国本社にその財源を移すと35%の法人税がかかるので、170億ドル(なんと1兆7000億円だ)という巨額の社債を発行し、それで配当をすると発表したため海外で利益を貯め込んでいることが表に出てしまったのだ。
議会の委員会でクックアップルCEOが証言し、アップル社は米国で最も多くの法人税(昨年60億ドル=6000億円)を払っていると反論したが、同時に最も多くの課税を逃れていると追求された。ちなみに2009~2012年で740億ドル=7兆4000億円の利益を海外の子会社へ逃避させた。米国議員はアップルの行為に対し、厚顔無恥だとか言語道断だとか非難をしている。
以上は財政危機に陥って税金を何とか増やしたい米国で、イライラしている国会議員と世界一の優良会社との争いだが、海外子会社の配当や利益余剰金の国内還流について税制優遇の措置を執ればアップルも社債発行などしなくて済んだと思うが、タックスヘブンの問題は一国では解決できない。これこそTPPやFTAの課題だろう。