行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

バングラディッシュの悲劇

2013-05-11 18:46:05 | Weblog

縫製工場の8階建てビルが崩壊し、500人以上の労働者が亡くなり、日本でも報道されている。バングラディッシュは貧しい国で労働者の8割はインフォーマルセクターでその日暮らしだ。工場で働ける繊維労働者は良い方で、多少の危険な職場でもしがみつく、昨年も火事で100人以上の死者が出ているが、ビル崩壊事件後もさらに繊維工場の火災は起きて死者が出ている。

崩壊したビルの労働者の賃金は月37ドル(3700円)から50ドル(5000円)北京の約8分の1、ニューデリーの4分の1程度だ。このビルにはイタリアのベネトンの下請けが入っていたごとく、この国にはH&MやZARA、GAPなど世界の有名ブランドがこの最低水準の賃金を利用し、いまや繊維加工業はバングラの主要産業となっている。日本のユニクロも中国一辺倒のリスクを回避する「チャイナプラスワン」としてダッカ郊外に工場を持っており、バングラ製のユニクロ品を着てるかもしれない。バングラの悲劇は華やかなファッション産業の裏面を覗いた気がする。

火災、ビル崩壊とあまりのひどさにキャラクター製品を製造している米国ディズニー社は早々とバングラからの撤退を表明した。バングラの各工場は形の上では監査会社やNPOの安全審査を受け、ブランド各社はこれを鵜呑みにし、自ら現場を見てないことが昨年の火災事故でわかった。ディズニー社のごとく逃げだし、他の途上国で作らせることは簡単だが、それではバングラの労働者はどうなるのだろうか??

今、繊維産業を組織する国際労働組織がのりだし、ブランド各社をまとめているEUの経営者団体とバングラの労働安全について協定を結び、バングラの繊維産業を維持していく努力がなされている。コスト増になるけど安全審査をきちんとやり、労働者の生活を維持していくことが多くの犠牲者への手向けになる。

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