行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

集団的自衛権解釈変更、米国の見方

2014-07-07 18:06:08 | Weblog

閣議決定した憲法解釈変更の主たる目的は米軍支援にあり、オバマ米政権は表向き歓迎ということだ。しかしニューヨークタイムスの社説やそれに対する米国民の反応は複雑である。
ニューヨークタイムスの社説では、「この解釈変更は日本が軍事的役割を高めるもので、フィリッピンなどは賛成するも安倍国家主義政策は中国や韓国の反発を招き、地域の緊張をさらに高める。国内世論も50%が反対し、連日官邸前には抗議のデモが押しかけて、多くの困惑を日本にもららしている」としている。これまでニューヨークタイムスは4月1日付けで「日本は平和主義から抜けようとしている」5月15日付けで「日本は米軍事力への支援規制を緩めようとしている」などと報じてきた。
社説の最後では「安倍連立政権は衆参両院で多数を占めており、この解釈変更に関する多くの法改正も通るが、国民は国会の審議を通じてこの解釈変更が戦争に訴える国に変わったのではないという保障を安倍氏から確約しなければならない」

この社説にたいいて200を超える読者の意見が寄せられている。一部を訳する。
*問題は集団的自衛権ではなく、過去の歴史に対する日本の態度だろう。これまでの日本政権は安倍内閣も含めて先の戦争での日本の責任を完全には認めて来なかった。対照的なのはドイツで過ちを認め、近隣諸国とも和解している。もし安倍政権が近隣諸国に集団的自衛権を受け入れてもらいたいなら、彼は日本の戦争責任に、よりオープンになる必要がある。

*この社説は中国が取り囲もうとしている時、日本に静かにしていろと言うが、少し認識が甘すぎる。米国は条約で日本を守ることになっており、安倍はオバマに太平洋の要となるよう期待している。安倍は米国がアフガンやウクライナに気を取られているのではと見ている。当分の間、中国は南シナ海で圧力を強め、日本だけでなく東南アジア諸国に脅威を与えている。日本は戦争に訴える準備をしているのではなく、自分自身を守ろうとしていると見るべきだ。論説委員はもっと公平に安部首相の平和憲法の再解釈への努力を判断すべきだ。

*憲法9条に対して多くのコメントがあるがいささか混乱している。この再解釈以前でさえ、日本は中国に対して無防備であったわけではない。日本の軍事費は世界で8番目に大きく、アジアでは中国に次いで2番目だ。日本の憲法はこれまで侵略に対しては自衛できると解釈されてきた。今回の安倍の再解釈は社説をよく読めば、日本の軍事力は集団的自衛権の下で、同盟国を守るということだ。
厄介なことは同盟国を守るという考えはいくつもシナリオがあり、曖昧だということだ。ドイツは第1次世界大戦に巻き込まれたのは、同盟国であるオーストリアをただ防衛するということで、ロシアはセルビアを守ろうとし、英仏はロシアを守ろうとしたことだった。結果は世界が経験したことがなかった長い戦争になった。
日本政府がその戦争歴史に対して曖昧な立場にたつならば、日本の近隣諸国は集団的自衛権がどう正当化されるかナーバスになる。

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