内閣府が13日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.7%減、年率換算で6.8%減となった。これは政府だけでなく多くのエコノミストにとって想定外の結果だ。何故このような誤算をしたのだろうか?
一つは消費税増税に対する消費者の反乱で、GDPの6割近くを占める個人消費は、実質で前期比5.0%減と予想外の大幅で、個人消費の落ち込み幅は97年4~6月期の3.5%を上回り、同じ基準で統計を遡れる94年以降で最大になった。自動車、パソコンなどの耐久財や日用品の消費が低迷したという解説もあるが、増税をにらみこの1~6月の消費は昨年の7~12月よりも落ちていて、一部の富裕層による東京デパートでの消費増に惑わされた。地方での消費の低迷は深刻だ。
もう一つの大きな誤算は輸出の低迷だ。円安にもかかわらず輸出の伸びはマイナスで、長い間の円高による企業の海外生産が拡大し、日本での生産拠点を閉鎖したことを過小評価していた。研究開発投資でさえ、国外に拠点を設けそこへの比重を多くしている。結果企業による設備投資も4~6月期は2.5%減となった。決算発表が続いているが4~6期は2%程度の増益で、設備投資も躊躇しているのか、それとも先行きが不透明なのか
震災の復興、新幹線の着工など力を入れてる公共投資でさえ4~6月期は0.5%減少と、政府の管理能力を疑われる結果となった。この体たらくでは10%への消費税増税はかなり難しくなった。震災の復興財源である特別所得税やガソリン税を倍にしている暫定税率などボディブローとなって消費者を萎縮させている。同じ復興財源である企業への特別税は撤廃され、国家公務員や国会議員の歳費凍結や一部返上も撤廃された。消費者を考慮しない国民を愚弄する政策で成長戦略など成功するわけがない。