韓国の現代自動車で毎年慣例のストライキが発生している。今回はボーナスの一部を基本給とみなして時間外手当の算出対象給与に繰り入れろという要求だ。昨年韓国の最高裁がボーナスの一部は生活給という裁定をしたからややこしくなってる。現代自動車の労働者の賃金はトヨタや日産より高いから最低賃金時給600円で働いている労働者からみればボーナスが高すぎて困っているとやっかむむきもあり、少なくとも一般韓国人からのストに対する同情はない。
高度成長期、日本の労組でもボーナス要求に対して論争が起きた。今では考えられないが6か月や7か月のボーナスがごろごろしていた。当然組合員からボーナスは時間外手当の算出対象給与にならないからボーナスの一部を賃金で取れと言う声も出てきた。ボーナスの要求根拠を議論した時に、いくら業績反映と言ってもローンにはボーナス返済部分があるから生活給部分は安定的でなくてはならないという議論が大勢を占めた。労組によって異なるが電機連合は5か月が生活給部分として、業績が悪くても5か月のボーナスは死守せよということだった。
その後のデフレ経済で、5か月のボーナスは希望に近く、リストラ風の中では4か月のボーナスがごく普通になってしまった。ボーナスの一部を算出対象給与にせよという声も出なくなり、全体的には賃金を上げるとコスト増になるから、少しでも経営が改善され利益が出たらボーナスで報いるという論理が主流となった。その典型はトヨタだった。
欧米の組合の賃金論は伝統的にボーナスを出すくらいなら賃金に組み入れろということで、日本のボーナス制度に対しては不思議な顔をして聞いている。日系企業も欧米ではボーナスを出してもクリスマスプレゼントに1か月といったところだ。