空海(後の弘法大師)が仏教の道場を開いて1200年ということで、初めて高野山を訪れた。といっても建造物はたびたびの火事で何回か建て替えられていて法隆寺のような古いものはない。金堂の秘仏をご開帳といって見せてくれたが、この薬師如来も高村光雲が掘ったものだ。奥の院には慰霊塔や墓が参道脇にあり、織田信長、豊臣家、徳川家の墓をはじめ、諸大名の墓がひしめいている。織田信長の骨は本能寺で見つからなかったということだから慰霊碑に近い。
奥の院入口付近は企業の広告塔よろしく労災でなくなった従業員の慰霊塔が目立つように建っている。中には白色のロケットをかたどった新明和工業慰霊碑があり、この聖地でと驚かせる。どういうわけか最近話題のシャープ、東洋ゴム、キリンビールといった企業のそれが目につく、寺のガイドはアサヒ、サッポロはまだ建てていませんと笑いを誘う。
中には最近建てられた東日本大震災被害者の慰霊碑もある。
外国の聖地で見ると、山の中にあるモンセラートは、スペインカタルーニャ州のバルセロナ近郊にある1200m山頂に位置する。高野山と対比すると、巨大な教会はあるが企業の慰霊塔などはない。土産物屋、レストランは結構あるが高野山ほど多くはなく、何となく霊気が漂っている雰囲気で、黒いマリア像は常時目の前で見ることができ、一部は触ることも赦される。高野山金堂の秘仏は1200年の歴史の中で初めて公開し、遠くから眺めるだけだ。もちろん写真は撮らせない。
高野山金堂
巨大な多宝塔