今年に入ってシリアを中心とした中東の難民は欧州へと加速し、その模様が連日報道されている。海路は危険が伴うので陸路で向かう難民でブタペストの中央駅は混乱している。欧州各国は非常事態としてドイツ、フランス、英国が受け入れを表明した。ポルトガルやスペインのように失業率が高い国は難しいことは今時の難民は良く理解しているようで異口同音にドイツを目指すと言っている。難民の必携は衣食とスマホだとニューヨークタイムスは報じ、テレビのインタビューにも英語で答え、欧州の情勢も把握している。GPS付きスマホを持っているのでハンガリーが難民収容所に入れようとしても200キロでも歩いてウィーンを目指すといって拒否をする。昔のヴェトナムからのボートピープルとは様子が違う。
難民に目指されているドイツは副首相が50万にでも受け入れると言明し、難民を喜ばせている。日本に50万人の難民が来たらどうだろうか黒船どころの騒ぎではないが、ドイツを参考にこの際考えておく必要がある。ドイツは戦後復興の成長期にトルコを中心とした外国人労働者を導入労働力不足を乗りきった。1970年代、日本より早く40時間制を実現したドイツの工場を先行事例として見学させてもらったが、組み立てラインには各国の労働者が入っていて、自国の小さい国旗を機械にくくりつけていた。驚いたのは米国からの労働者もいたことだ。その後ベトナム難民の受け入れ、東西ドイツ統一による東独からの労働者の受け入れなどドイツは苦労しながらも外部の労働力を活用して発展してきた。
確かに短期で見れば、東西ドイツ統一には4兆円も西ドイツは負担し、今回の難民受け入れにはとりあえず1兆円を超える負担を背負うことになるが、今回の中東難民は上記のごとくかなり質が高いので、長期的には労働力増を通じ成長して行くことが予想される。今回の中東難民はドイツに神が来たようなものだとさえ言ってる学者もいる。どこかの国の成長戦略よりかなり確実性がある。