昨年あたりから米国で論争が起こっているMMT、日本でもマスコミが取り上げるようになってきた。生涯経済学徒を自任する自分としては実に興味深い。米国では民主党左派のサンダース議員が支持しているが、民主社会主義を唱えている割りに金融財政政策自由化とも取れるMMTに賛同しているところが面白い。MMTは米国をはじめ日本もEUもヘリコプターマネーという新語に象徴されるように金融をジャブジャブ緩めて、この10年間景気を何とか持続してきたが、インフレにならないところから出てきた理論ではないか?要はインフレにならないなら財政を出動させ、投資を促し、成長率を上げ、景気を良くすれば失業率も下がり、民の生活は良くなるということだ。
財政赤字の王者日本もインフレどころか、デフレの脱却も出来ないので、どんどん国債を発行し日銀が引き受け、必要な災害復興を含め公共事業を促進すべしとMMT学者は進言する。これには財務省がとんでもないと目をむいて怒る。日本の学者では、MMTは今が良ければ将来の世代がどうなっても良いという無責任論だと切って捨てる。しかし、経済成長が達成されれば、投資によりインフラだって将来へ向けて良くなるのだから将来世代は困らない幸せになる。と反論する。
日本の場合、何年間も実質賃金が低下していることが問題で、デフレの脱却は難しい局面、企業が貯め込んでいることが事態をややこしくしている。トヨタがその良い例だ。MMTは、消費税を上げることなどとんでもない。財政再建の旗印を先ず降ろすことが景気を良くすると説く。インフレにならない限り当然賃金も上げるべしという。キーワードはインフレにならない限りということで、インフレになったらどうするという理論が出てこないところに弱みがある。
それより、米国で注目しているのはオーストラリアだ。何せ28年間景気循環がなく、成長し続けているからだ。資源国という日本と違う面があるが、その秘密を分析することも重要だ。景気循環をなくすというのは経済学の夢だ。