最低賃金の影響力が大きくなった
時代が変わったのだと思わせる記事が先日報道された。「東京の時給分布を見ると、07年には前年度の最低賃金719円に近い時給800円未満の人は7万2000人にすぎなかった。10年後の1......
厚生労働省の最低賃金の目安を決める審議会で、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で企業の業績が悪化し、経営者側は「凍結」を求めた。政府も、雇用を守ることが最優先課題であるとし、これまでの3%増経過を引っ込めた。しかし、コロナ下では、医療・介護や飲食・生活必需品の配達、スーパー・小売りのレジ係、ごみ収集など生活に欠かせないサービスを担う人達「エッセンシャルワーカー」(必要不可欠の労働者)の重要性を皆再認識した。殆どがパートやアルバイトで、この中には、最低賃金に近い給与で働く人も少なくない。また最低賃金引き上げの影響を最も受け、この人達は最低賃金が上がらないと時間給は上がらない。緊急事態宣言以降、頑張った人達への報いを政府・経営側はどう考えているのだろうか?
安倍首相の唯一のリーダーシップは最低賃金を2016年度から4年間、3%以上引き上げだった。全国平均の時給は昨年901円になったが、早期に全国平均で1000円を目指す方針がここでとん挫した。時給900円ではフルタイムで週40時間働いても、年収190万円程度で日本の最低賃金は平均賃金の4割弱にとどまる。欧米は時給1500円実現に動いている。日本の水準は決して高くなく、これを3%上げても企業経営に響くとは思えない。
今年の春闘では、新型コロナの影響が懸念される中、連合加盟中小企業組合でも平均賃上げ1.8%が合意され、最低賃金が据え置かれることになれば、正社員と、立場の弱い非正規労働者の格差はさらに広がる。
国の目安が出て、これから県ごとの最低賃金が決まるが、感染リスクが高い仕事に対し、それに見合っただけの賃金が支払われているのか、検討して地域最低賃金を決めて貰いたい。