行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

大相撲八百長とウオール街の強欲

2011-02-09 14:35:32 | Weblog

前回のブログで「強欲がバブルを産み育む」というウオール街のことを書いた。最近のTPP論議では農業自由化だけでなく金融の自由化が含まれており、米国の強欲金融機関が日本でのさばるというTPP反対論を主張する学者がいる。しかし、日本の90年前後のバブルは日本人のモラルや優しさをを壊し、尊大さと強欲を生み付けてしまった。その後遺症があらゆるところで残っている。年寄りをだまし年金を巻き上げる詐欺事件や振り込め詐欺事件などはウオール街の強欲よりたちが悪い。

個人競技の相撲では昔から星勘定の貸し借りがあったことは推定できるが、今回の大相撲八百長事件は人間の欲を利用した携帯ネットによる組織的事件だ。事件の背景は関取(十両)という資格を取れば月給103万円、他に年6回の報奨金、年収にしたらゆうに1300万円は越える。その下の幕下は場所ごとに力士養成費として15万円支給され、部屋によってはピンハネされることもあるという。年収は100万円にも満たない。

関取の年収は大会社の課長以上で幕下になると最低賃金にも満たない。異常な賃金体系で十両以上はバビリーな年収で幕下は食事は部屋も持ちだが地獄的な生活となる。これでは組織的なネットを利用した星の売り買いが出て来ることは否定できない。スポーツの世界ではサッカーなど若い選手がバビリーな高給を取り、高級スポーツカーを乗り回している。日本人には節度というものがあったが、バブルがそれをも吹き飛ばしてしまった。

最近の救いは伊達直人現象やヴォランティア活動だ。

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映画「ウオールストリート」を見た

2011-02-07 23:01:39 | Weblog

2008年のリーマンショックの起因するところ人間の欲で、これからも繰り返される。といったことを訴えたいのだろうが、ヒューマン派の監督オリバーストーンがこれに親子の愛を絡ませたためか中途半端な作品となった。

冒頭1987年にインサイダー取引で逮捕された「ウオール街」の主人公ゴードン・ゲッコーが刑期を終えて出所するところから始まる。出所する際、私物の返還の場面で入所したときの携帯電話がでてくるが、当時の携帯電話だからペットボトルほどの大きさで、刑期の長さと時代の変化を現している。

ゲッコーは服役中、ウオール街の観察と研究を怠りなく行い、講演会で,以前「強欲は善」だったが今や(2008年)「強欲は合法」となっているとして、服役中に開発されたサブプライムリーンやCDS(Credit default swap)等の存在を上げている。映画の中で、2008年バブルがはじけ、金融危機を乗り越えるため、ウオール街の投資銀行間で財務省長官を交えた虚虚実実の駆け引きが登場し、リーマンブラザーズとおぼしき投資銀行が破綻し、社長は自殺する。ウオール街の黒幕が実は風説の流布でその銀行を破綻させ安値で乗っ取ったのだ。ゲッコーの娘の恋人は自殺した社長を慕うブローカーで、復讐を誓う。

ゲッコーは入所する前に娘名義の巨額の預金をスイスの銀行に預け、娘と恋人の投資銀行ブローカーに引き出させ、だまし取りそれを元手で復活するが親子の間は危機状態となる。娘はSNSネットを運営していて、恋人の復讐を手伝うべく、黒幕の個人口座の秘密をネットで暴き、逮捕に追い込む。この辺は今はやりのネットの威力か

ゲッコーは娘とよりを戻そうと、娘と恋人が入れ込んでいた超伝導とおぼしきクリーンな新エネルギーへの投資を申し出て、娘と和解する。しかし、ゲッコーは最後に言う「新エネルギーもやがてバブルになる」

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新日鉄と住金の合併にいたる背景

2011-02-05 17:58:31 | Weblog

日本でトップの新日本製鉄と3位の住友金属工業は3日、2012年10月をめどに合併する検討を始めた、と発表した。海外展開を加速させて新興国などでの旺盛な鉄鋼需要に対応し、鉄鋼業界の競争激化を乗り切るのが狙いで、10年の粗鋼生産量の規模では、アルセロール・ミタルに次ぐ世界第2位になる。という報道で昨日の日経平均は10500円を越え、歓迎ムードいっぱいだ。海江田経産相などは公正取引委員会は認めよと早くも牽制している。

背景は3つ有ると思う。1つは世界の20以上の鉄鋼メーカーを次々買収し世界一の鉄鋼王となったインド人ラクシュミ・ミタルの買収対抗策だ。鉄鋼会社に勤めたこともないミタル氏はこれまで買収したのはくず鉄工場ばかりなので、世界一の技術力で高品質の製品を生産する日本の鉄鋼会社が欲しいことは事実だろう。ミタル氏の資金力は新日鉄の時価総額2兆円強を上回っている。

もう一つはこの数年、原料である鉄鉱石を供給するBHPビリトン(英・豪系)は買収を繰り返し、鉄鋼会社を遙かに上回る巨大企業になり、価格支配力を確立しつつあることだ。2008年には大手リオ・ティント社(英・豪系)まで買収し鉄鉱石価格の完全支配力獲得に乗り出そうとしたが、リーマンショック後の不況で断念した。しかし、今年に入り、世界景気の回復に伴い、資源価格は上昇に転じており、日本鉄鋼企業も原料に対する価格交渉力を付ける必要があり、それには巨大化が不可欠だ。

次に鉄鋼産業は日本の勢いの良い高度成長時代、韓国のポスコ製鉄や、中国の宝山製鉄に最新の技術を給与して高炉の建設を援助した。その両製鉄会社もいまや日本企業の強力なライバルとなっており、今後伸びるアジア市場での競争力拡大も1つの課題だ。

鉄鋼産業は電機や自動車のように、機動的に海外に工場進出はできないので国内の工場の再編でリストラをし、世界一の技術を磨いてきたがミタルのような怪物が出現し、中韓からは追い上げられ、打開策としては合併しかないとの結論と見る。かつて新日鉄は富士と八幡の合併を経験しているが、日本製鐵という会社が敗戦後、連合国の命で分離したのが元に戻ったということと、当時稲山、永野という大物経営者が君臨していたからスムーズに合併が運んだ。しかし新日鉄と住金はかなり会社の体質がことなり、ネーミングからして難しい問題が控えている。

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昭島の温泉 湯楽の里初体験

2011-02-03 21:28:12 | Weblog

2日にスーパー銭湯だった湯楽の里が天然温泉になったというので行って見た。場所は玉川上水の脇、かつて私が昭島に越してきたとき小学校の分校があったところで懐かしかった。開場日ということで普段700円のところ回数券を買ったら590円だった。

こうした立ち寄り湯でよく行くのは五日市にある瀬音の湯、車で小1時間の山の中、また同じくらいの距離のところに宮沢湖温泉がある。こうしたところと比較するといろいろと公的な規制があって残念ながら昭島温泉は見劣りがするとの第一印象だ。

全体的に土地の値段のせいか建屋が狭い、そのため休憩室が畳の部屋しか無くソファーでゆったりする場所がない。マッサージのサービスはあるがマッサージ器も置いてない。
レストランはセルフサービスで値段は安い。

肝心の温泉だが、源泉掛け流しの露天風呂と循環露天風呂が天然温泉で地下1800mからくみ上げている。温度は38度弱なので加熱はしている。この2つの温泉は30人ぐらいはいると満杯で都の規制で大きくできないような説明がしてあった。アルカリ泉の温泉は肌がすべすべして気持ちよかっただけに残念だ。またこの温泉、保健所の規制で塩素消毒していると表示してあって飲むことはできない。

何とも味気ない規制で街中の温泉は、捨てるほど流している温泉地の温泉とは所詮別物と考えた方が良さそうだ。

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米国企業S&Pの格付けをどう考えるか

2011-02-01 10:47:47 | Weblog

米国の1私企業が自分の判断で格付けをしており、評論家の1つの意見と考えた方がよいのに日本ではマスコミや政界の党利党略に利用され大騒ぎだ。今回の日本の国債をAAからAA-に一段階下げたと言っても子供の通信簿みたいに良くわからないが、他国の国債の格付けと比較すると成績レベルが判る。S&Pの通信簿はAAA、AA+、AA、AA-、A+、A、そしてBへと続き、日本は上から4番目ということだそうだ。

日本より一段階良い成績の国(AA)はスペイン、カタール、バーミューダで、日本と同じ成績には中国が入っている。国家破産が今週のエコノミストに特集されているスペインが日本より成績が良いとは???また世界で最も外貨を有し、欧州の危ない国(PIIGS)の国債を気前よく購入している中国が同じAA-でこの格付けがいかにいい加減かが判る。

格付けが下がると、日本の国債の価格が下がり(金利が高くなる)、円安になるのに実際の市場では、長期金利は変化無く、米国やドイツの長期金利は3%台、日本は1%台、円高も続いている。要は実体経済に全く影響なかったことだ。円安になると日本の景気にプラスになったのだが・・

格付け会社の格付けが信用できないことはリーマンショックでも経験済みだが、良きに解釈すると日本の国家財政の危機を何とかせよと政治に迫ったことだ。日本国家の借金は地方自治体を含めると900兆円、世界の借金王で、貸し主は95%国民だ。しかし高齢化で国民の貯蓄も減少しようとしており、党利党略の国会議論から政策の議論に戻り、厳しいこの国の財政を再建する道筋を作ることが緊急課題だ。

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