アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

演じる、空気を支配する演奏

2015年07月26日 | ピアノ
昨日はJG同期が歌う(メゾソプラノ)演奏会を聞きに行きました。なんとこのクソ暑い日に、冷房のない教会で(o_o)

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といっても、開始時の18:00にはだいぶ暑さもやわらいではいたのですが。それにしても100人超の人間が一堂に会したらそりゃ暑いわけで、開け放した窓から蝉の鳴き声もやかましく…

ピアニストにはかなり過酷な演奏環境だったと思います(ヨレてた)。

前半がピアノソロ、後半が歌+ピアノで、歌が始まるころにはさらに一段暑さも引き、蝉も比較的静かになっていました。

そこへ歌姫登場(^^) 薄いピンクのドレス+白のストールで会場を清楚なオーラで包みます。

そういえば、ピアニストもイケメンでしたが、場を支配するオーラというほどのものは発してなかったんですよね。横向いて弾くピアノと、前を向いて歌う声楽の違いでしょうか。

歌の前半は、会場が教会であることに合わせて、バッハ=グノーのアヴェ・マリア、アメイジング・グレースといった神に捧げる的な曲が並びます。一つ一つとても美しかったのですが、前半最後に配置されたチャイコフスキーの「憧れを知る者のみが」というのがことのほかすばらしく、わけもなくじわっと涙が出ました。

後半はオペラ曲。がらりと衣装を替えて、ビゼー「カルメン」のジプシーの唄で登場です。会場内を歩いたり、フラメンコの振りのような動きをしたり、拍手をしたり…つまり、前半はあくまで「歌曲」でしたがオペラは劇でもあるのですよね。

もちろん歌メインですから派手な動きではないのですが、セリフ(歌詞)に伴う、顔の表情、手の表情、その他の動き、全身で演じて、会場の空気を支配します。

曲ごとにまた全く異なるオペラの世界に入り込んでいくのですからほんとうに大変だと思いますが、お客さんをがっちりつかんで離しません。客層は、教会でやるチャリティーコンサートですから必ずしも音楽好きな人ばっかりではないはずですが、一体となって引きつけられているのがよくわかります。

ふと気が付いたのですが、私の斜め前方に彼女のお師匠さんがいて、口は歌詞をなぞって動き、曲の節々ではこぶしを振り上げたり、手をぐっと差し出したりして、半ば指揮をするように「気」を送っています。そして一曲が終わると、ほんとうにうれしそうに拍手を送っていました。

ご自身の東京大空襲のときの話(一夜明けて気が付いたら、水平線が見えてびっくりした。それくらい焼けて何も残っていなかった)をされていたくらいなのでかなりのご高齢だと思いますし、足元もおぼつかなく目も見えず杖にすがって介助の方に支えられてやっと立ってた感じの方だったのですが、あまり生き生きと、演奏を味わって喜んでいらっしゃるので微笑ましく拝見しました。愛弟子なんですね。

演奏を聞いていて思ったのですが、歌をうたう人は決して、自分が「休符」でピアノの音しか出ていない瞬間でも気を抜いてだらんとボケーッとしてることはありませんよね。一曲の中では世界がつながっていて、声は出していなくても演技は続いているのです。

最後のチャイコフスキー「オルレアンの少女」より「そう、時は来た」は圧巻!! ジャンヌダルクが故郷を離れる決意をした場面を迫力の歌で演じて、お客さんも(お師匠さんも)すごく盛り上がりました。

実はこの日、午前中には二台ピアノの合わせレッスンに行って「スターウォーズ」を弾いてたのですが、そのとき散々いわれたのが
・もっと演じなさい。二人ともおとなしく淡々と弾きすぎ。
・自分が休符でも演奏は続いている。必ず、次につなぐ準備を。
ということで(^^;;

そうね、ピアノ弾いてるとつい、お客さんのこともそっちのけで一人必死に弾いてたり、打鍵するだけでなんかやった気になってその後のことはなりゆき任せとか、そんな感じになりがちだけど、それが決して許されないのが声楽。

あなたは、正面向いてお客様を堂々と見渡しながら演奏できますか?

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