カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

097「紋」より ・ 家紋の思い出

2014-10-12 22:36:25 | 和モノ好きさんに100のお題
 中学生の頃、美術の時間に家紋を木板に彫るという課題が出たことがある。
 彫刻が得意だった私は早々に作品を仕上げてしまい、その頃親しかった友人が自分の作品にいつまでも愚図愚図と時間をかけるのを内心馬鹿にしていた。だが、作品が完成して高評価を貰ったのは、細く細かい線以外の部分を丁寧に削り落とし、源氏車を浮き彫りにした友人の作品だった。そうやって私は何度も友人に負け続け、耐えきれなくなった時に友人を失った。
 
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