カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

「桃色」「コタツ」「きわどい子ども時代」ジャンル「ミステリー」より・冬の日の思い出

2014-12-01 20:53:41 | 三題噺
 弟は六つになる前に死んだ。冬の寒い日に掘り炬燵に潜り込んで一酸化炭素中毒になったのだと言う。あの頃は炬燵以外の暖房器具がなかった我が家は弟の保険金で新しい家を建てた。
 妹は十三の時、三番目の父と一緒に死んだ。耐震装置が無い古いストーブが倒れて家と一緒に燃えたのだと聞いた。母は火災保険でさらに立派な家を建てた。

 きっと僕が死ななかったのは、母が今でも一番愛していると公言して憚らない最初の父にそっくりだったせいなのだろう。
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