信州の高等学校に通いながら暇さえ有れば近くの高原に登り、菫には変種が多いんだよと笑いながら標本を採取していた先輩は、結局、進学先の大学を辞めて赴いた戦場から二度と帰ってこなかった。
先輩の訃報を知った僕は一人で高原に登り、先輩がいなくなっても相変わらずひっそりと咲き続ける菫の花を見て、あの人が一体何を守りたかったのを理解した気がした。
先輩の訃報を知った僕は一人で高原に登り、先輩がいなくなっても相変わらずひっそりと咲き続ける菫の花を見て、あの人が一体何を守りたかったのを理解した気がした。