男はその生涯をバラの品種改良に捧げた。そして世界のバラ園芸家が求めて止まない青い空色をしたバラや、花心から縁にかけてグラデーションで虹色を示すバラなど、奇跡としか称しようのないバラを幾種類も作出したが、生涯己の業績を誇ることはなかった。
男が本当に作りたかったのは、実は彼が子供の頃に母と手を繋ぎながら見上げた空の、まさにバラ色と称するに相応しい夕焼けの彩りをしたバラだったのだ。
男が本当に作りたかったのは、実は彼が子供の頃に母と手を繋ぎながら見上げた空の、まさにバラ色と称するに相応しい夕焼けの彩りをしたバラだったのだ。