カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第七夜・世界で一番奇麗なみどりいろ

2017-06-13 21:22:21 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『今ひとたびの』と『萌木色』を使って創作してください。

 てるてる坊主と一緒に傘を打つ雨の音を聞きながら歩くのが好きだと言った妹は、陰鬱な梅雨の時期に肺炎に罹って亡くなった。一年ほど呆然としながら暮らしていたら再び梅雨の時期が訪れ、私は思い切って妹が本当に好きだったものに会いに行くことにした。

 それは、梅雨の合間の薄陽に照らされた時だけに見ることが出来る、輝くように鮮やかな若葉の色彩が重なり合う姿。
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店の名は琥珀亭・幸せだったはずの姫君

2017-06-13 20:54:19 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【放物線を描く花束】というテーマで創作してください。

 当時その国は聡明で妹思いの兄王子が王位を継ぐと決まっていたので、妹姫は気兼ねなく身分の低い宮廷画家と結婚して息子にも恵まれ、田舎の荘園で平和に暮らしていた。ところが兄王子の急逝に伴い、本来は玉座など望まなかった妹姫に第一王位継承権が転がり込み、結果として兄王子派と妹姫派の激しい対立を招き、それは日を追う毎に収拾が付かぬほど激しくなっていったのだった。
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