カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

三十二冊目・『狭き密室の強奪』

2018-04-24 20:57:37 | サスペンスはお好きですか?
たかあきは『狭き密室の強奪』事件を解説してください。

 お姉ちゃんはいつだって私のものを取り上げ、泣いて返してと縋ると嗤いながら目の前で壊した。それは明らかに私が悲しむのを楽しむ為の行為で、もの自体に対して興味は無かったのだろう。父も母もお姉ちゃんを可愛がるばかりで全く頼りにならなかった。

 だから私は、お姉ちゃんの夫を誘惑してから捨てた。
 お姉ちゃんの旦那に相応しい屑だと罵り、泣き叫ぶお姉ちゃんに「もう要らないから返すね」と嗤ってみせると、狂乱状態のお姉ちゃんは大きなガラス製の灰皿で私の頭を何度も何度も、頭蓋が砕け散るまで殴り続けた。

 結局、私を含めた誰一人として幸せにはなれなかったが、後悔はない。
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