彼女は神を信じていなかったが優しい家族は皆信心深く、彼女も表面上はそれに倣っていた。ある日彼女の母が病に倒れて手術を受けることになって、彼女は初めて真剣に全霊を込めて神に祈った。その結果、彼女の母がどうなったのか彼女は薄く微笑むばかりで決して答えようとしない。
彼女は神を信じていなかったが優しい家族は皆信心深く、彼女も表面上はそれに倣っていた。ある日彼女の母が病に倒れて手術を受けることになって、彼女は初めて真剣に全霊を込めて神に祈った。その結果、彼女の母がどうなったのか彼女は薄く微笑むばかりで決して答えようとしない。
私が大切にしていた古い天文書を、彼は今となっては間違いだらけの内容なんだろうと笑った。お祖父ちゃんが子どもの頃に貰ったという大事な本にケチをつけられて頭に血が上った私は罵倒と共に彼を追い出したが、まさか罵倒通りに彼がお星さまになってしまうとは思わなかった。
彼女のペンダントを開くと中には小振りのロザリオが入っていて、これでどんな時でもお祈りを捧げられると笑っていた。その言葉に嘘はなかったようで、バス事故で息絶えた彼女の右手には千切れかけたロザリオが巻き付いていたと、彼女の母親から葬儀が終わった後で聞かされた。
骨董品屋で手に入れた動かない宇宙時計を物珍しそうに眺めていた姪っ子が、どうしてこの世界は動かないのと尋ねてきたので、もう中の機械が壊れて直せないんだよと答えると、世界ってねじを巻けば動き出すものだと思っていたけど、確かに世界そのものが壊れているならねじを巻いても仕方ないわねと言われた。
「前世紀の人間は、自分が生きているうちには決して見る事の出来ないであろう惑星の姿を夢見て、それを美しい架空の光景として描き上げた。天文学的には無意味だと言われるかもしれないか感じるものはあるだろう」
「ああ、このバニラ色と薄ピンクの縞模様を見ていると何だか苺のアイスクリームを食いたくなる」
「そうきたか」
飲み屋で知り合って付き合い始めた彼にそろそろ結婚を考えようと持ち掛けたら、実は狼男なので結婚は出来ないと言われ、別に構わないと答えたら考えさせてくれと言ったきり行方をくらましてしまった。だから私は純銀のお月様をお守りの弾丸代わりに今でもまだ彼を探している。吸血鬼の末裔のしつこさを舐めるな。