カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

『覗き(見た?)』と【仮】より・お伽話の結末のように

2015-10-06 20:47:47 | 物書きさん、お題です
 絶対に覗かないで下さいね。そんな言葉を無視して不幸になった人間の物語は枚挙に暇が無い。
 だから僕は彼女の行動を詮索しなかったし、彼女と他の男が一緒に歩いているのを見たと友人に忠告されても信じなかった。

 やがて最悪の形で彼女を失うことになった時、僕は今まで自分が彼女の真の姿を何一つ見ようとしていなかったことに気付いた。
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『初雪』と【代役】より・初雪の魔法、或いは、ありふれた陰謀

2015-10-05 19:56:55 | 物書きさん、お題です
 どうしても抜けられない用事があるからと奴に言われ、代理として待ち合わせ場所に着いた俺の前に現れたのは、奴の従妹を名乗るなかなか可愛い女の子だった。受験の下見がてら街を回る約束をしていたのにと涙ぐむ姿につい案内を引き受け、それなりに楽しい時間を過ごしてから駅で彼女と別れた俺だったが、それが二人の仕組んだ陰謀だったと俺が知ったのは彼女との式当日だった。

「本当に気付かなかったのか?」
「疑う頭すら無かったわ」
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『初雪』と【のんびり】より・風の花

2015-10-02 23:41:54 | 物書きさん、お題です
 青空に音もなく舞い散る雪片に手を伸ばし、彼女は今年最初に手にした雪だからこれで貴方の願い事を一つ叶えて上げられると笑った。
 山に積もった雪が風に乗って地上に運ばれてきた、いわゆる風花は初雪の内に入るのか、そんな野暮なことを言う気も失せるほど雪片を掌に載せた彼女は可愛らしくて、だからボクの願い事であったプロポーズを受けてくれた彼女にも、やがて彼女そっくりに成長した僕の娘にも、風花がどんなものであるのかを教えたことはない。
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『うそ』と【ほろ苦い】より・お望みの結末は

2015-10-01 22:30:34 | 物書きさん、お題です
 貴方を好きですと言えないまま貴方の友達でいて、だから貴方が私を恋人ではなく友達としてしか見てくれないまま大事にしてくれるのが普段はとても嬉しくて、でも時々凄く辛い。
 でも、貴方を好きになって貴方の恋人になれたとしたら、今よりも更に辛い思いをすることを、私は貴方の恋人を見て知っている。
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