映画 愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

歴史を勉強した人なら
ムッソリーニの名前を知らない人はいないでしょう。

しかし、何度も裏切られながらも
彼を深く愛し続けたイーダという女性を
知っている人がいるのでしょうか。

ムッソリーニの子どもを出産するものの
出生記録などの存在を消され、
生涯精神病院から出ることを許されなかった
実在の女性の半生を描いたのが、
映画「愛の勝利を　ムッソリーニを愛した女」です。

政治活動によって官憲から
追われていた男に恋をし、結ばれるイーダ。

全財産を売り払い資金援助をし、
彼は日刊紙を発刊し、独自の政治組織を模索。
そして、ドウーチェ（統師）として
イタリアに君臨するようになるのです。

ヒットラーと並ぶ独裁者、興味の持てる
人物ではないのですが調べてみました。

彼には数百人に及ぶ愛人がいたらしいのです。
本妻は、夫の出世など興味のない家庭的な女性だったようです。
二人の間には５人の子どもがいました。

映画の中では、音楽家か作家になりたかったというセリフがあります。
画家を目指していたヒットラーと共通点があるような。

イーダも本妻の存在を知ったのですが、
自分こそ妻だと主張し続けました。
忠告も耳には入らず、ムッソリーニに人生を捧げたのです。
愛人として要領良く生きる道を選ぶことなどしませんでした。

鬼気迫る演技で数々の賞を受賞したイーダ役の
ジョヴァンナ・メッゾジョルノが美しいです。
若き日のムッソリーニと息子役を演じる
フィリッポ・ティーミの演技も同様でコワ～イ

オペラ曲やチャップリンの映画、
ムッソリーニの記録映像をインサートし、
アートな映像はヨーロッパ的、古典的なようで斬新です。

ムッソリーニの演説の真似が得意な
イーダの息子の顛末が、あまりに哀しくて…。
26歳で彼もまた精神病院で短過ぎる生涯を閉じました。

監督・脚本　マルコ・ベロッキオ
2009年　イタリア・フランス

シネマート新宿

２０１１．６．２９