映画 ブラック・ブレッド

スペイン映画最高のゴヤ賞最多９部門を独占、
さらにガウディ賞等数々の賞を受賞した
2011年スペインを代表する作品。

徐々に明らかになる謎と結末が紡ぎだすダーク・ミステリー。
スペイン内戦後の1940年代のカタルーニャの小さな村、
森の中で少年が発見したのは…

冒頭シーンから残酷でミステリアスに満ちたシーンで、
ランチ後の眠気も飛ぶようなストーリーの展開に
目が釘付けとなっていくまるみでした。

どうして君はそんなに好奇心が強いのかと
子ども時代から臆病だったまるみは思いました。
見て見ぬふりをすることのできない少年。

無垢で無邪気でいられるのは、幸せなこと。

内戦によって生まれた格差は、憎しみ、裏切りを生み、
支配する者と服従する者を分けました。

理想だけでは妻子を養えない
反ファシズム運動に参加していた父親を待っていた
過酷な運命は、少年を変えてしまったのです。

少年、少女の目を通して、その現実を暴いていく
スペイン映画の特徴ともなっているのかもしれません。

ラストシーンがあまりにも切なくて、
涙が止まりませんでした。

ダークな映画なのですが、少年の父親役の男性が、
　あまりにも阿部寛に似いていたために
　気持ち救われたような気がします。

※黒パンとは…
主に小麦に大麦、とうもろこし、きび、どんぐりの粉等を
混ぜたもので、1930～1940年代までの貧しい人々や
庶民の間で食され、「貧者のパン」と呼ばれていました。
硬く味のないものだったようです。

監督・脚本：アグスティー・ピジャロンガ
出演：フランセスク・クルメ、マリナ・コマス他
２０１０年／スペイン・フランス

ヒューマントラストシネマ渋谷

２０１２．６．２８