映画 おおかみこどもの雨と雪

34カ国で公開されるという
期待の高さを物語っている細田守監督の作品です。
フランスでも大盛況のスタンディング・オベーション、
テレビでも紹介されていました。

ニホンオオカミ系の狼男と出会い、恋に落ち、
二人の子どもを産む女性とその子どもたちの物語です。

まるみも好きなファンタジーですが、
狼男を秘密めいた恋と置き換えれば、ひっそりと出産し、
子育てをしなければならない女性の物語として、
女性や子どもの成長の話としても見ることができます。

雪と名づけられた長女と１歳下の弟の雨、
ヒトでもあり、オオカミでもあり、我を忘れるとオオカミの姿に。
虐待の疑いで、児童相談所の職員がアパートを訪問するほどの
大変な子育てを強いられます。

都市部での生活から山奥の村へと移り住み、
ひっそりとした生活から村の人々に助けられ、
社会にも溶け込んでいくのです。

オオカミの姿で生まれてきて医師を驚かせてはいけないと
自宅出産、本からの知識だけの子育てから
人々との交流からも学ぶ子育てへと変わっていきます。

昨年の児童虐待は６万件にも及ぶそうですが、
誰にも相談できず、出産や子育てに悩んだりしての
虐待も多いといいます。

犠牲になる子どもを減らすためにも
こうした社会との交流の必要性も感じました。

自然描写のダイナミックさと細やかさ、
自然の生命力の素晴らしさに目を奪われ、
子どもの表情やしぐさに心をも奪われ、
感情移入し、涙を流しました。

日本のアニメだからこそできる作品であると思います。

劇場には、親子連れ、カップル、シニア、
幅広い年齢層の方々が鑑賞していましたが、
あらゆる年代の方にオススメできるアニメです。

T・ジョイ大泉

２０１２．７．２４