まるみのあっちこっち巡り

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映画 声をかくす人(The Conspirator)

2012-11-21 01:07:08 | 映画(劇場鑑賞)
監督として5年ぶりに手がけたロバート・レッドホードの
歴史に隠された真実に迫る感動作です。

アメリカで初めて死刑になった実在の女性、メアリー・サラット。
リンカーン大統領暗殺の共犯という罪でした。

南部出身の下宿屋の彼女の元に暗殺犯が、
足繁く訪れていたことから
共犯者として糾弾されたのです。

彼女の弁護を渋々引き受けたのは、元北軍の英雄フレデリック。
弁護士としては新米でしたが、有罪と決め付け報復する国家と
「公平な裁判を受ける権利」さえ保障されないその裁判に
彼の正義感が燃えたぎり、激しい闘いとなっていくのです。

その弁護士を演じるのがまるみ注目のジェームズ・マカヴォイ。
心の内が丁寧に描かれ、確かな演技力で演じています。
メアリー役のロビン・ライトも凛としたその姿はピッタリ。

裁判の席で、「私は無実です」それ以外は語らなかったのです。
強い意志を持って実刑を受けるその最後の瞬間まで、
気高く振舞うその姿に胸が熱くなりました。

「実の息子ですら救わない母親の命をなぜ君が救う」
一番印象に残ったセリフです。

メアリーの命を救うことはできなかったフレデリック。
でも、彼女は変わっていく彼に救われたと思います。
そして、守りたかった命も救うことができたと確信したかもしれません。

満席で一番前の座席で見ることになってしまいましたが、
122分があっという間に過ぎるような充実した時間でした。

戦争、暗殺、死刑と重いテーマなのですが、
光と影との美しい描写もこの映画の魅力となり、
良い映画を鑑賞できて良かったという気持ちが強く、
不思議と哀しい気持ちにはならなかってのです。

悲しいのは、この大好きな映画館が来年閉館してしまうことです。
芸術作品や社会派映画を単独で上映するミニシアターが、
また一つ消えていくことになります。

シネコンでは上映されにくいこのような作品を
観る機会がまたなくなってしまうのが、残念です。

銀座テアトルシネマ

2012.10.30
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