第56回シカゴ国際映画祭で観客賞と
最優秀演技賞<役所広司>の2冠を達成した作品。
実在の人物をモデルとした佐木隆三著「身分帳」を原案に、
舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、
主人公の数奇な人生を通し、
社会の光と影をあぶり出そうとしています。
キャスティングが見事で、その演技に吸い込まれ、
2時間がとても短く感じたほどです。
出番は短くも自然で、存在感ある演技の数々に
違和感を感じるところもあるのですが、
日本を日本人をよく描いていると思います。
躓いてしまった人への不寛容な風潮が、
どれほど社会を危険なものに陥れてしまうのか。
結局のところ救えるのは、社会制度ではなく人の力。
人との繋がりを再認識させられました。
とかくに人の世は住みにくい、
でも、まだまだ捨てたものではない。
コロナ禍の今だからこそ考えなければならない
課題を突きつけられたようにも思います。
監督・脚本:西川美和
出演:役所広司/仲野太賀/六角精児/北村有起哉/キムラ緑子/
長澤まさみ/安田成美/梶芽衣子/橋爪功
2021年/126分/日本
ヒューマントラストシネマ渋谷
2021.3.5