まるみのあっちこっち巡り

ー32,000枚を超える写真とともに綴るお出かけブログー

雨ニモマケズ エール2021ー賢治からの贈り物ー ギャラリーTOM

2021-03-19 23:38:25 | ミュージアム



「手で見るギャラリー」として村山亜土夫妻によって
1984年に開館したギャラリーTOMは、
視覚障害者が彫刻に触って
鑑賞できる場所です。







村山夫妻の一人息子、(故)錬(れん)は生来の
視覚障害者として生まれ育ちました。

錬が「ぼくたち盲人もロダンをみる権利がある」と
言った言葉に突き動かされた夫妻が、
視覚障害者のための美術館を設立したというのが
ギャラリーТОМの誕生の経緯です。







1階に展示されていたのが「ぜつぼうの濁点」
原田宗典・作 柚木沙弥郎・絵
ひらがなの国で「ぜつぼう」に仕える濁点の「〃」は
主が嘆き悲しむのは自分のせいと主さがしの旅に出ます。

「絶望」から濁点を取ると「切望」、
「死」の沼で溶けて「気泡」になった上に復活したら「希望」、
絶望から希望へと華麗なる変貌を遂げた濁点のお話です。
気にすることもなかった濁点、オトナも楽しめる絵本でした。

「ゆする」は迷惑ですが、「ゆずる」は歓迎です。
言葉遊びを考えるのも楽しいかも







自然光が差し込む展示室など
建築も興味深いものです。







階段から2階にかけて展示されていたのは、
「雨ニモマケズ」作: 宮沢 賢治 絵: 柚木 沙弥郎

闘病生活のさなかに賢治が書きとめたその言葉は、
作品として書かれたものではなく、
賢治の「祈り」そのものだった・・・・・・。







柚木沙弥郎氏の作品で影絵を楽しみましょう。
たまには絵本の世界に触れたり、
遊んでみるのも良いかもしれませんね。







視覚障害者の美術鑑賞の場として視覚障害者も晴眼者も
同じように体験ができるような先駆的で
実験的な方向を求めているというギャラリーTOM。







ギャラリーの建物の設計は、内藤廣氏によるものです。
鉄筋コンクリート作りで、その上に特徴のある
鉄骨の梁を斜めに掛け渡してありますが、内藤氏は
「TOMのメッセージの先鋭さや怒りを表現しようとした」とか。

ギャラリーTOM

入館料
一般500円 小·中学生200円
視覚障害者及付添者 各300円

東京都渋谷区松濤2-11-1

2021.2.13

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