’08/01/30の朝刊記事から
韓国新政権 大臣不在の事態にも
省庁再編で現政権と対立
【ソウル29日井田哲一】韓国の李明博次期大統領の政権引き継ぎ委員会が策定した省庁再編案をめぐって、盧武鉉現政権との対立が激化している。再編に反対の盧大統領が関連法案に拒否権を行使した場合、各省庁の大臣が不在のまま、2月25日に新政権が発足する異例の事態となる可能性もあり、韓国メディアは盧大統領の姿勢に批判を強めている。
盧大統領は28日、同委の再編案について緊急会見で「現政権がつくり上げた哲学と価値を壊すもの」と痛烈に批判、関連法案が国会を通過した場合、法案に署名しない考えを示した。
韓国紙は29日、盧大統領の発言を一斉に取り上げ、「拒否権行使は大統領選の民意を冒涜するものだ」(東亜日報)「盧大統領は独善的な考えを捨てるべきだ」(京郷新聞)などと批判的に報じた。
同委の李東官(イドングァン)報道官は28日、「去る大統領が、なぜ新政権の発足を邪魔するのか分からない」と困惑した様子をみせた。
盧政権の与党、大統合民主新党でさえ、盧大統領の発言には冷淡だ。同党の孫鶴圭(ソンハクキュ)代表は28日、韓国紙とのインタビューで「国会での論議を尊重すべきだ」との立場を明らかにした。
盧大統領が拒否権を行使した場合、李氏側には「有効な手だてがない」(同委関係者)のが実情。東亜日報によると、李氏は28日の盧大統領の会見直後、側近と対応策を検討。①盧大統領に対する攻撃を控える②民主新党を説得するーことを確認し、法案の修正を含め柔軟に対応する姿勢を示し始めている。