’08/02/18の朝刊記事から
コソボ独立を宣言
セルビア首相反発
【ウィーン17日石井群也】旧ユーゴスラビアの中心地、セルビア南部で国連が暫定統治しているコソボ自治州の議会は17日、自治政府が提出した独立宣言案を採択、サチ首相は議会で「コソボは自由で独立した民主主義国家であることを宣言する」と演説し、セルビアからの独立を一方的に宣言した。欧州連合(EU)の大半や米国は直ちに国家承認するとみられる。一方、セルビアのコシュトニツァ首相は「不法国家は認めない」と述べ、独立は国際法違反として国連などに無効を求める方針を示した。
サチ首相は「少数民族の権利を尊重し、強めていく」とも明言、セルビア系住民の権利を保護する考えを示した。サチ首相はコソボの国家承認について「約100カ国が準備している」との認識を示してきたが、国連安全保障理事会の常任理事国でセルビア寄りのロシアも少数民族独立の自国への波及などを警戒、独立を容認しない姿勢で、国連加盟は当分、困難な情勢だ。
EU内にも独立反対する国があるほか、日本政府も北海道洞爺湖サミット議長国として明確な立場を表明しない方針。コソボにとっては国際社会の承認がどれだけ広がるかが課題となる。
EUは国連に代わって警察、司法、税関などの公務に当たる約2千人の文民支援隊を2月から派遣。EUや米国を後ろ盾にしたコソボの国家運営が始まる見通しで、民族衝突の舞台となってきたバルカン半島情勢は新たな段階に入る。