’08/03/15の朝刊記事から
チベットで大規模衝突
デモに発砲、2人死亡か
【北京14日共同】1954年の「チベット動乱」から49年を迎え僧侶らの抗議デモが続発している中国チベット自治区ラサ中心部で14日、複数の店舗や車が燃やされ負傷者が出た。
国営新華社通信が伝えた。
米政府系放送局「ラジオ自由アジア」はデモ隊と警察が衝突、発砲により少なくとも2人が死亡したと報じており、大規模な衝突だったとみられる。
北京五輪を控え国際的な反響を呼ぶのは必至で、中国は難しい対応を迫られそうだ。
中国政府は10日以降のデモについて「人民の生活は正常」(自治区当局者)と平穏を強調してきたが、事態は一気に拡大、深刻化した。
インド・ダラムサラでは13日、亡命チベット人が抗議デモを行い、約100人がインド警察に拘束された。
中国甘粛省や青海省のチベット民族居住地区でも14日に僧侶らによる抗議デモがあったとの報道もあり、抗議活動が連動している可能性もある。
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は「強い懸念」を表明、中国政府に武力を使用しないよう求めた。
ラサにいる英誌エコノミストのジェームズ・マイルズ記者は共同通信の電話に「夜に入っても市中心部は数百人を超す抗議参加者が占拠、警察はそれを包囲しつつ上部の命令を待っているようだ」と指摘した。
また漢民族の商店や事務所が略奪の対象になり「漢民族の自動に石が投げられるのを見た。漢民族は町を離れたようだ」
チベット自治区
中国西部に位置し、平均標高は4,000メートル、「世界の屋根」といわれる。住民の9割はチベット族が占める。中国は1951年、人民解放軍を進駐させたが、59年、住民が「チベット動乱」と呼ばれる大規模デモを起こし、チベット族多数が弾圧された。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世はインドに亡命し、同国北部ダラムサラに「亡命政府」を樹立。中国は65年9月、チベット自治区を成立させた。89年には、大規模デモが起き、区都ラサに厳戒令が敷かれた。