‘07/02/20の朝刊記事から
教わらぬ「聖地」の歴史
ソウル 近藤浩
中国と北朝鮮の国境にあり、頂上にカルデラ湖を頂く白頭山は朝鮮民族の「聖地」といわれる。
南側は北朝鮮領だが、北半分は中国領で、長白山と呼ばれている。
先日、中国東北部・長春での冬季アジア大会で、女子ショートトラック競技で銀メダルを獲得した韓国選手団が「白頭山はわれわれの土地」と書いた紙を表彰台で掲、中国側の反発を買った。
これには、後日談がある。
派手なパフォーマンスをした若い選手たちは、半分が中国領だという事実を知らなかったという。
ある知人も「すべて北朝鮮領だと思っていた」と言うので驚いた。
白頭山の帰属をめぐっては中朝両国の長年の争いの種だったが、一説には、北朝鮮の故金日成主席は1962年に中国と結んだ条約で、朝鮮戦争支援への見返りに白頭山を提供したともされる。
韓国の学校では、日本との間の領有権をめぐる争いがある竹島(韓国名・独島)は徹底的に教えるのに対して、「聖地」の歴史教育については、中国や北朝鮮に遠慮でもあるのか、さほど力を入れていないようだ。