’08/08/27の朝刊記事から
南オセチア・アブハジア ロシアが独立承認
欧米との対立決定的
【モスクワ26日加藤雅毅】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、グルジアからの分離独立を主張している南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認する大統領令に署名したと表明した。
これにより、ロシアとグルジアの軍事衝突をめぐる和平の行方は不透明となり、グルジアを支援する欧米との対立は決定的となった。
ロシアによる独立承認に関し、グルジアのサーカシビリ大統領は「完全に非合法なものだ」と非難した。
メドベージェフ大統領はテレビを通じた国民向けの演説で、「(グルジアの)サーカシビリ大統領は政治的課題を解決するために大量虐殺を選択した」と述べ、グルジア軍による先制攻撃を強く非難。
独立承認決定について「簡単な決断ではなかったが、人命を守る唯一の手段だった」と述べた。
演説に先立ち、大統領はロシア南部のソチで、プーチン首相と会談した。
安全保障会議も開催、独立承認に関して最終調整したとみられる。
南オセチア自治州
グルジア北部の自治州。
ロシア・北オセチア自治共和国と隣接する。
オセット人が住民の多数を占め、同じくオセット人が多い同共和国への編入を求め、1990年末にグルジア軍と武力衝突。
停戦監視のため、ロシアを含む合同平和維持部隊が配置された。
今年2月、ロシアや欧州連合(EU)に対し独立承認を呼びかけたことで、対グルジア関係が緊迫。
8月7日、分離派制圧を掲げるグルジア軍の進攻を受けた。
介入したロシアは、和平合意後も自治州周辺に「緩衝地帯」設置を表明するなど関与を継続している。
アブハジア自治共和国
グルジアが抱える分離・独立派の共和国。
同国北西端に位置市、カフカス山脈に沿ってロシアと国境を接する。
1992年に独立派が「独立宣言」し、グルジア軍と戦闘状態に入ったが、94年に停戦成立。
ロシア軍を中心とした平和維持部隊が展開している南オセチア自治州をめぐる紛争では、グルジアが実効支配する自治共和国内のコドリ渓谷の村をロシア軍機が空爆。
分離派部隊も進攻し制圧した。
紛争後は首都スフミで、ロシアに独立承認を求める大規模住民集会が開かれた。(時事)
撮影機材
Kodak DC4800