’08/08/19の朝刊記事から
パキスタン ムシャラフ大統領 辞任
反大統領派が弾劾圧力
【シンガポール18日斎藤正明】パキスタンのムシャラフ大統領は18日、テレビ演説で辞任を表明し、下院議長に辞表を提出した。
反大統領派による弾劾手続きが進んでおり、罷免が避けられないと判断したもようだ。
イスラム過激派への対決姿勢を鮮明にしてきたムシャラフ氏の辞任で、米国主導の「テロとの戦い」にも影響が出るとみられる。
ムシャラフ氏は演説で「一部の勢力が虚偽の疑惑で私を非難している」と反大統領派を批判。
その上で、政情安定のために「自身を犠牲にする」と述べた。
1999年の軍事クーデターで政権掌握後、事実上の独裁を続けてきたムシャラフ体制は終焉を迎えた。
ムシャラフ大統領辞任 治安悪化・支持失う
パキスタン 政局不安定かも
〈解説〉パキスタンのムシャラフ大統領が、9年近く保った権力の座を明け渡した。
反対勢力を力で抑える姿勢や治安悪化で国内の支持を失い、進退きわまった結果だ。
ムシャラフ氏の退場で、今後の政権運営は反ムシャラフ派の連立内閣が主導するが、政局は不安定化する虞もある。 (シンガポール・齋藤正明)
ムシャラフ氏は、2001年の米中枢同時テロに始まった「テロとの戦い」への協力の見返りとして米などから得た支援により、高い経済成長を達成していた。
しかし昨年3月、自身に批判的だった最高裁のチョードリー長官らを停職処分にし、司法界や野党陣営から批判を浴びた。
対決姿勢でのぞんだイスラム過激派の反攻も始まり、昨夏には首都イスラマバードのモスクで立てこもり事件が発生。
その後も自爆テロが頻発している。
治安の急速な悪化で、ムシャラフ氏は国民の支持を失い、今年2月の総選挙で反ムシャラフ派の躍進を許した。
ただ、反ムシャラフ派の連立与党は、弾劾手続きをめぐってイスラム教徒・シャリフ派の閣僚が一旦辞職するなど、内部対立の芽もはらんでいる。
パキスタンでは、絶大な権力を持ち人材も豊富とされる軍が1958年に初めてクーデターを起こして以来、たびたび軍による民主政権転覆が図られてきた。
連立与党内の路線対立で政局が流動化するようだと、軍が前面に出てくる可能性も否定できない。
撮影機材
Kodak DC4800