沢木耕太郎
『深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海』★★★
トラブゾンの夜は寒かった。高地のエルズルムと比べても、大して差がないほどの冷え込みだった。しかし、部屋には帰りたくなかった。部屋に戻れば、スチームの暖房がある。だが、それにもかかわらず、この街頭より、はるかに部屋の方が寒々しいように思えてならなかったのだ。
カブールですれ違った日本人が、これからヨーロッパに向かう私に、しみじみとした口調で言ったものだった。ヨーロッパに冬は寒い。しかし、その寒さは、雨が降ったり、雪が降ったからという寒さではなく、宿に帰っても誰もいないという寒さなんだ、と。しかし、ヨーロッパに辿り着く前に、私はその寒さに�拙まってしまったようだった。
人を傷つけるのっていとも簡単。。
期待を持たせても・・・正直に伝えたがため。
何も言わずに去ることも出来るけど。
誰かとつながっていたい。
その誰かは自然と存在する。
わーわー。
美味しい珈琲が飲みたい。