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『大江健三郎全小説9』

2024-06-17 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


--------

抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・静かな生活

ノンフィクションのようなイーヨー物語
大学三年生の「私」こと妹の「マーちゃん」
その弟の「オーちゃん」 架空の人物と言っているけどそうとは思えないエピソード

注意深く兄のイーヨーを支える妹のマーちゃんの語り。
家族の絆、兄弟姉妹の繋がり。

イーヨーあっての大江家って感じがする。


--------(抜粋)


困難な現実を乗り越え希望される「静かな生活」
家族と人生の、そして人間の真実を描く純文学連作小説。
障害を持った兄との関係を通して、家族と社会、現代という時代、人間の未来に切実に対峙していく女子大生のマーちゃん。現実の困難さの向こう側に希望される、穏やかで静かな生活
現代人の魂の行方を人間の優しさとともに描く純文学連作小説



精神に機器を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された三人の兄弟妹の日常
脳に障害を持った長男のイーヨーは”ある性的事件”に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうかーーー。
<妹>の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアーが漂う。大江文学の深い祈り。


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静かな生活

この惑星の棄て子

案内人(ストーカー)

自動人間の悪夢

小説の悲しみ

家としての日記


全6話構成(標題と同タイトル有)



巻末に伊丹十三の一文が掲載
「静かな生活」映画化について

!?映画化されているのね。観てみたい。

大江文学を読むまで大江健三郎と伊丹十三が同級生で、
大江さんと伊丹十三の妹が結婚していたことは知らなかった。

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すでにして村落共同体の土の匂い、大量死のモチーフ、ミソロジカルな時間、グロテスクな哄笑といった、大江文学の特徴が既にして見て取れるのがいかにも興味深い。

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想像力というのは、何か夢のような幻想的なものを紡ぎ出す力ではなく、惰性化した思考や価値観に一撃を加え、われわれの世界観に罅割れを生じさせるような力であるわけですから、

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