最近読書にハマっている。薄給の再雇用契約社員にはうってつけの暇つぶしだ。
書籍は老眼ゆえに文字が見にくいので、最近はもっぱら、フォントの大きさを調整できるパソコン読書だ。
青空文庫を筆頭に、ネットには無料で読める小説が盛りだくさんだ。
そんなネット小説を休日や暇なデスクワークの合間に読むことが習慣化してきた。
青空文庫では、漱石や菊池寛、芥川や太宰など日本の文豪はあらかた読破して、今は名もなき(私が知らないだけかも)小説家の作品を読んでいる。
その他のサイトでは小説家を目指す素人の短編を拾い読みしている。
先日、米英文学の短編を翻訳して掲載しているホームページを発見した。
近代米英文学の代表的な、例えばヘミングウェイやアップダイク、サリンジャーやフィッツジェラルドをはじめ、米英文学をかじったことのある者にはお馴染みの作家の短編が列挙されていた。私も一応、大学では英文学部に籍を置いていたが、世の常で勉強はそっちのけで、青春を謳歌するのに忙殺されて、試験前の訳本くらいしか読んでいなかった。
還暦を過ぎてようやく小説を読むことに目覚めたのだ。
そんな私にそのホームページの珠玉の短編は、小説を味わう楽しみを教えてくれた。
有名作家のさほど有名でない短編を翻訳しているのだが、長編大作にはない味や空気感が伝わってくる。
翻訳者も私と同年代と思われ、それぞれの作品の後の解説には、同じ時代ならではの感じ方や比喩があふれ、なるほどと素直に共感させられた。
昔、中学生の頃、SF小説に凝って、「月世界旅行」とか「地球最後の日」、「アンドロメダへの旅」とかを胸を躍らせながら読んでいた。ワクワク、ドキドキのそんな小説は、一気に読むのがもったいなくて、途中で何度も先の展開を考える日を設けて、日数をかけて慈しむようにして読んだものだ。
近代米英文学の短編にも、そんな日々を思い出させるような佳作が多い。