在職中は退職後のことなど、漠然と考えることはあるにはあったが、それが現実になるとはあまり思っていなかった。
それは、学生時代に漠然と考えた、就職するとか、結婚して家庭を持つとかと同じように、非現実的な思いに似ている。
自分の未来の姿など、なかなか想像しがたいものだ。
こうして退職後の引きこもり生活を送っていても、まだ退職したという実感はわかない。
生活は続いているし、単に時間だけが過ぎてゆく。
人生を時の流れとするならば、過去に漠然と思った未来は、どんなに遠くても、生きていれば必ず現実として訪れる。
時間は自分の意識の外側を流れている。
意識は子供の頃から延々と続いているし、自分自身はなんの変化もないように感じる。
子供の頃の思いも変わらず今の意識の中に生きている。
80歳、90歳の自分を想像してみようとしても、あまりにも漠然としているし、生きているかさえわからない。
しかし、生きていれば必ず訪れるのだ。
そして、今と同じように、意識は子供の頃から変わらない、と思うのだろう。
狙いは読後感。読めばわかる、あるいは読んでもわからないかもしれないが、なんとなく心の片隅に残る奇妙な違和感。ありきたりで普通を装った妙な安心感。 そんな小説を、Amazon Kindle Storeに30数冊アップしています。★★ 拙著電子書籍ラインナップ・ここから買えます。
読後のカスタマーレビューをいただけたら幸いです。