1966年6月29日はビートルズファンにとっては、ジョンの命日、ポールの脱退宣言が報じられた日に並ぶ、特別な日だろう。
その日未明の羽田空港に降り立った4人が、初めて日本の土を踏んだ記念すべき日だ。
警視庁はファンや右翼に対する警備のため、延べ1万人とも3万人ともいわれる制服、私服の警官を動員したという。
熱狂的な女性ファンの狂騒は、ビートルズの音楽性よりそのアイドル性に起因していたようだ。
まあ、当時のメンバーは、現在のSnow ManやSixTONESより、はるかに若かったから無理もないか。
マスコミが煽る世間の騒動の報は、概ね批判的で、神聖な武道館で外国の不良の演奏会などけしからん、という過激な意見もあったようだ。
残念ながらというか、幸いにもというか、九州の辺境の小学6年生だった私の耳には、そんな報道は届かなかった。
当時の私のミュージックシーンの主役は若大将こと加山雄三だった。
若大将シリーズの映画に夢中になって、加山雄三のシングル盤が出るたびに、親に買ってもらっていた。
その加山雄三が、宿泊先のホテルでビートルズと歓談していたのは後年知った。
ビートルズに多大な影響を受け、日本中を席巻したGSブームの到来は、その翌年だ。
当然私も加山雄三からGSにシフトした。
青年団の兄ちゃん達のベンチャーズバンドも、GSのコピーバンドに変身を遂げた。
月刊平凡や明星の歌本を教材に、私がギターを始めたのもその頃だ。
ビートルズを知ったのは、そのまた翌年の中学2年の頃だ。
あと3年ほど早く生まれていたら、ビートルズ来日の熱狂もリアルタイムで感じただろうし、GSブームを経由せず、ビートルズを筆頭に洋楽へと舵を切っていただろう。
当時、高校生の先輩に借りたホワイトアルバムから、過去のアルバムへのタイムトラベルを済ませたあとは、リアルタイムのビートルズを追いかけた。
解散後はその遺産ともいうべき、楽曲の整理と解析、なんでも鑑定だ。
そして今は、考古学者さながら、ビートルズにまつわる過去の何かが発掘されるのを、懐かしい気分で眺めている。
私の中では、リアルタイムだったビートルズも、今やノスタルジーという記憶のフォルダーの中に保存されている。
悲しいかな、加齢とともに、それを取り出す頻度は年々少なくなってきている。
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