歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

『誰も知らない』で思いをめぐらす

2011年08月08日 | 映画の話し
昨日、録画しておいたNHKBSの“山田洋次監督100選”の『誰も知らない』のを観てしまいました。

劇場公開を1800円ほどの料金を払って観た方は、見終わって、とても、とても、辛い思いを抱き、重い足取りで映画館を後にした事でしょう。お金を払って、辛い、暗い、重い気分にさせられるのは、とても、とても、複雑で微妙です。

公開は2004年8月7日で、暑い、暑い、真夏で、私が観たのが昨日で、2011年の8月7日で、暑い、暑い、1日でした。あまり意味はないのですが、それなりに、何かの偶然です。

そういえば、あの頃、主演の柳楽(やぎら)優弥・・・・・ホントに読みにくい、珍しいから覚えそうなのですが、何度聞いても、何度観ても、直ぐに忘れてしまう・・・・・が、その年のカンヌ国際映画祭で、史上最年少及び日本人として初めての最優秀主演男優賞を獲得したことで、世間の話題を呼んだことは、何となく記憶にあります。

柳楽クンは、2008年に自宅マンションで安定剤を大量に服用し急性薬物中毒で倒れ、病院に運ばれました。

自殺未遂説が流れたりして、14歳という若さで、それなりの頂点に立ち、世界の注目を浴びてしまうのは、その後の人生、かなり、辛く、重く、いろいろと背負わさたのかも・・・・・・知れません。

柳楽君も今では21歳で、何と一児のパパになっているそうです。早い人は早く、遅い人は遅いのです。

それで、1988年に発生した“巣鴨子供置き去り事件”を題材とした作品だそうです。実際の事件は、もっと、もっと、凄惨で、残酷で、とても悲しい事件だったようです。

映画では幼い次女が事故が原因で死ぬのですが、「事件」では“兄や兄の友達”に虐待されて死んだようなのです。映画では事件を題材にして、かなり“ソフト”な作品になっているのです。事実をありのままでは、芸術ではなく、事件報道ですからね。

それにしても、子供を育てることを放棄し、愛人との暮らしを選び失踪た母親、周囲の住民は、それとなく、何となく、異常に気づいてもいい筈なのですが、気が付かないのです。

学校で虐めに逢う女の子、コンビニのアルバイト店員、弱いものは、弱いものの存在には気づき、それなりに助け合うのです。

周囲の異常に気づいても“知らんぷり”から、ホントに気付かずに“知らない”、自分以外に関心が無くなり、周囲の異常に気付かなくなった“異常な世の中。

異常な事件が起こっても、あまり異常と感じない異常な世の中“だったあの頃”。

そして、世界同時不況、そして3月11日以降、世の中と関わりが無くとも、生きていけた、暮らしていけた、そんな時代から、関わりが無ければ、助け合わなければ、生きていけない時代に・・・・・・、なの、かも。

異常な世の中は、異常な出来事を経て、正常な世の中になる、の、かも・・・・・・。

いつの時代も、世の中の犠牲になるのが、子供だと云う現実は、とても、とても、辛いです。

それにしても、俳優は、演技力よりも、その人間の存在感、その人間の外観に、その作品内容に、そして、そして、その俳優を使う監督に、大きく依拠しているのです。

柳楽クン、カンヌの「最優秀主演男優賞」は。早すぎの重すぎ、だったのかも・・・・・・。

それにしても、是枝さん、141分は長かったです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする