私・・・では、今日は、“占領軍犯行説”の政治的意味を考えたいと思います。
B氏・・・何かムズカシクなりそう。
私・・・そんな事はありません。いたって単純明快なのです。それでは、え~と。占領軍の情報機関による謀略説は、松本清張が最初に発表しました。
B氏・・・「日本の黒い霧」だよね。むかし、文庫本で読んだ事がある。
私・・・「日本の黒い霧」は単行本として、事件後、13年経った1962年に出版されている。1951年に講和条約が締結され、日本の主権が回復して11年後だった。
B氏・・・日本に主権の無い占領状態では、占領軍の犯行なんて事は、云えない、書けない、聞こえてこない状態だった。
私・・・そうです。兎に角、戦争に負け占領されていたわけだから、占領軍の謀略なんて事は、公にできなかった。
B氏・・・占領中にそんな事を云ったり、書いたりしたらホント“消され”たかもしれないね。
私・・・つい最近まで、それなりに、何かを知っていそうな関係者や、事件取材をする側からも、身の危険を感じる人が居るようです。そんな事が“下山事件本”に書かれているね。
本人は真剣なんだろうけど、第三者からすると、かなり、たわいも無い話だったりして、単なる過剰反応にしか見えないけどね。
B氏・・・キャノン機関の幻に怯えているわけね。
私・・・それは、それで、一つの謀略工作であり、占領軍に不利な発言をした者が、命を狙われた“ような情報”を密かに流したり、実際は単なる事故だったものを、恰も謀略工作のように“見せかける情報”を流したりと、いろいろ工作をしている事実は、つい最近まであったと思う。
B氏・・・それって、暴力団なんかが、実態以上に恐怖感を抱かせる手口に似ているな。
私・・・暴力団よりも、情報機関は国家権力を背景にしている分、幻であったとしても、その恐怖感は相当なものなんだろうけど。
このプログも真実迫りつつあるので・・・・・・、もしかして、何か、危険な事が起きたりして・・・・・・。
B氏・・・ナイ。ナイ! それよりも、前回の「占領軍陰謀説の政治的な意味」の話は?
私・・・そうでした。それで松本清張ですが、彼も、そして、“占領軍犯行説”を主張するのは、進歩的と言われる人達とか、左翼と云われる人達が多い。
事件発生直後から、他殺説イコール「共産党犯行説」だった。当然共産党は“自殺説”を主張していた。
それが、講和条約以降、松本清張による「他説説=占領軍説」となる。事件発生時から、他殺説で取材をしていた、朝日新聞記者「矢田貴美雄」も始めは「共産党説」乃至は、ソ連の情報機関説だったらしい。
B氏・・・矢田貴美雄って、そうだったんだ。まぁ、占領期間中だったからな。それで、陰謀説の政治的な意味の方は?
私・・・そうです。これまでにも下山事件の時代背景を話したけど、この事件の発生前は、共産党などの左翼勢力は、国外の共産主義勢力に呼応して、大変な勢いだった。
日本にも共産主義政権の誕生は近い等と、叫ぶ勢力も現れ、9月革命説も一部には云われたりして、世の中は騒然としいてのです。
そんな中での下山事件、三鷹事件、松川事件でした。この一連の事件の後、左翼勢力は世の中の支持を急速に失っていった。
そこで何です。この時期から、戦後の流れが変わったので、下山、三鷹、松川が戦後の重大事件として語られるわけです。
でも、しかし、何です。この“三大謀略事件”により、歴史の流れが変わったと、声を大にして叫ぶ人達の中に、怪しい“思惑”も隠されているのです。
左翼勢力、特に指導的な立場にあった日本共産党は、49年頃から50年代に入って指導部が分裂して機能しなくなった。
一部は武力闘争を叫んで、山の中でゲリラ戦の真似事を始めたりと、メチャクチャの状況に入ってしまったのです。そんな、こんなで、共産党は現実政治への影響力を失っていったわけです。
そして、あの“間違いは絶対に犯さないと自認する”政党ですから、国鉄の“首切り合理化”に対する、敗北の責任は党の方針の誤りではなく、占領軍の謀略が原因であるとしたいのです。
その為には、キャノン機関の役割、組織、活動実体を、実際以上に“大きく見せたい願望”が働いてしまった。
キャノン機関を実体以上に大きく描けば、それに反比例して、共産党の誤りは、実体以上に小さく見えてくるのです。
B氏・・・何か、はなし難しくない。もう少し軽いノリで進めてくれる。それに、今、“蟹工船ブーム”に沸いている共産党に、水を差すような・・・・・・。
私・・・“過去”の共産党の話です。蟹工船ブームに乗って、時期衆議院議員選挙では、それなりに頑張って、予算処置を伴う法律の提案権を持てるよう期待しています。
B氏・・・旨いこと云って取り繕いましたね。
私・・・いえ。そんな事はありません。共産党が一定の議席を持つ事で、いろいろな“歯止め”になります。
B氏・・・“歯止め政党”ですか?(笑)
私・・・え~と。話が少し逸れ気味の傾向にありますので、本筋に戻したいと思います。と、云ったところで、そろそろお時間となりました。一旦、閉めたいと思います。
と、云う事で本日は、この辺でお終いとします。
それでは、また明日。