The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“「AIと人がつくる未来社会」シンポジウム”を聴講―阪大豊中キャンパスにて
先週末に次のように4~6月のGDPの発表があった。
“季節調整済み速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で1.8%増となった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う4月下旬からの10連休効果で個人消費が拡大。設備投資も堅調だった半面、米中貿易摩擦などに伴う海外経済の減速が響いて輸出は減少した。”
この結果に市場の反応はあったのか、なかったのか、専門家にも分からないくらい薄いものだった。何故か?実は7月初旬頃に、4-6は悪いんじゃないか、という声を聞いたように思っていた。だから、この発表を聞いて実感とは異なるものだったのだ。数字の分析では内需の伸びが主要因で、投資と消費が伸びたという。しかし、最近の企業業績と消費者心理に関して次のような報道もあった。
“日本経済新聞社の集計で、上場企業の2019年4~6月期の純利益は前年同期比14%減と3四半期連続で減益となった。米中貿易戦争が直撃した製造業に加えて、非製造業も陰りが出てきた。社数ベースで上場企業全体の6割近くが減益となった。今期は前期比4%減と2期連続の減益見通し。円高が急速に進んでおり、業績は一段と下振れするリスクがある。”
“内閣府が(19年7月)31日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.9ポイント低下の37.8だった。2014年4月以来の低い水準となった。前月を下回るのは10カ月連続。”
これで、どうして4~6月のGDPは3四半期連続のプラスなのか。やっぱり、集計に政権への忖度があるのではないか。日本のGDP発表も中国と同じで、信頼できるのか。実に怪しい話だ。
現実は景気は悪くなる傾向にある。8月冒頭に世界同時株安があった。この暴落にニュー・ヨーク市場は戻り歩調にあるが、果たして日本市場はどうか。消費増税が控えていては、誰も暢気にはしていられないはずだが、個人客に株を買わせようと押し目買いを煽るかのような予想が流布されている。しかし、信頼するチャーチストによれば、日経平均が20,408円を一旦下回れば2万円を割り込むとの予測があり、今や正にその限度を越えてしまったのが現実だ。場合によっては昨年最安値19,155円さえ下回る可能性もあるという。
北朝鮮が新型ミサイルの試射にいそしんでいる。これは落下時低空でコントロールされながら飛行するので、迎撃が非常に困難だという。つまりロシアから入手した巡航ミサイルに近いモノではないのか。中国は北経由で、いずれこれを入手するだろう。これを日本のマスコミは意図的にだろうか、“弾道”ミサイルと言ったり、微妙な表現の“飛翔体”と言っている。トランプ大統領も意図的に短距離ミサイルで問題ないと強弁している。実は、巡航ミサイルに核を搭載すれば国土防衛にとって非常に危機的であるが、日本は結構暢気な印象だ。
毎年、この頃になると原爆記念日がやって来る。今年で74回目だと言う。当然だが、被爆者は高齢化してきた。被爆の現実を語る人がいなくなると、この国では歴史修正主義者が跋扈する。何故か?
それは一つには歴史を感情的に捉える傾向が強いからではないか。“原爆は要らない!核廃絶だ!”とはよく聞かれる台詞だ。しかし、何故原爆が投下されるに至ったのか?何故日本は戦争を引き起こしたのか?を議論することはない。日本人に歴史の何故を客観的に把握し、理詰めで分析し、理解しようとする傾向はない。
だから、現在の状態を歴史的に再び同じ道を歩もうとしているかのようでも、全くそれに気付かない。小泉内閣以来、政府はインチキを言い続けて、そのインチキを実行して来ている。政策がインチキだから景気は一向に良くならない。これに国民はイライラし、一層感情的になっている。
昭和の初めもこのようであったのではなかろうか。長引く不景気に軍人はクーデターを実行し、社会心理を一層不安定化させた。そして世論が極端化し、戦争に走ったのではなかったか。
特に、最近の対韓政策と世論に同じような臭いを感じる。ある日本人経済学者が日本のこの政策が国際的にみてインチキだと言っていた。この主張自体には十分な説明なく、私の理解できるところではなかったが、どうやらマスコミ報道が安倍政権に忖度し過ぎて、客観性を保持できていないのではないか。果たして、このような政策が正しく国益に叶うのか、日本の78人の知識人の声を、マスコミは適正に報じず無視している。
先日、経済学者・野口悠紀雄氏の著作を書店店頭で立って拾い読みした。すると次の意味のような下りがあった。正確な記述ではないが、記してみる。
“小林一三(阪急グループの創業者)が岸信介を「アカ」呼ばわりしていた。今の安倍政権も同じではないか。”
安倍氏の祖父・岸信介は戦前の革新官僚であり、いわば官僚社会主義を指向していた。それを指して小林氏は私企業の経営に容喙してくる政権に「アカ」と言ったのだろう。野口氏は安倍氏が給与水準の引き上げを財界に“お願い”して回る姿を指して“それと同じだ”と言っていて、それは“正統な「保守」の政策ではない”と指摘している。
しかし、安倍政権は法律を無視してでも、政権に従えと全官僚を叱咤し、森友事件不起訴に見られるように検察も巻き込んで超法規的な絶対官僚主義を指向しているのではなかろうか。これが真実であれば、革新官僚が中心だった開戦直前の状態への戦前回帰、“いつか来た道”に戻ってしまっている。官僚の権益を墨守して、国家を滅ぼしたのだ。この傾向にある現政権を何故支持するのか、私は全く理解不能だ。
日本のジャーナリストは政権寄りで腰抜けばかりか!その腰抜けがパワハラで若い記者を脅しているのか。
ヨシモトの何が問題かと言えば、一体、どの口でSDGsを唱えるのかに本質がある。CSRにしろ、或いはISOにしろ、建前のウソが日本中を蔓延している。第一に首相の言葉全てに、真実が皆無で空虚なのだ。彼のゴルフの内容すら欺瞞。いずれ、その大小様々のウソは大きな代償として、それも悲惨な結果として跳ね返って来るのではないか。日本は何度敗戦すれば目覚めるのか。その度に代償を支払ってきた。もっと本質を見抜き、誠実で正直になるべきではないか。問題の中でもっと何が正義かを見抜き、少しでもそれを実現させたいものだ。
さて、今回は8月1日に阪大・豊中キャンパスにて、“「AIと人がつくる未来社会」シンポジウム”の催しがあった。この催しは、先月紹介したセミナー“AIによるSDGsの推進”で、松井講師が是非聴講するべきだと推奨していたので、即座にスマホで申し込んでおいたものだった。阪大・豊中キャンパスは何年ぶりだろうか。2009年6月頃に総合学術博物館(待兼山修学館)を訪ねた経緯がある程度だ。(このブログで記事にしている。)
阪急・石橋駅に11時半前に到着して向かいの上りホームに移り、東改札口から出て、まずは腹ごしらえ。パスタ専門店Albar(アルバール)石橋店で“海鮮パスタ・ランチセット”を食べた。
それから、わざわざ西側に回り込んで石橋商店街のアーケードを抜けた。この商店街は珍しくシャッター通りにはなっておらず、何故か各店皆繁盛していた。そして片側1車線の狭い国道171号の跨道橋下に出て、石橋阪大下交差点から進む。正面は待兼山で、門の向こう左手に旧医療技術短大だった総合学術博物館が見える。待兼山の周囲をめぐるように緩やかに左カーブしながら登って行く。地図によれば“阪大坂”となっているが、道路幅は昔より1.5倍は拡幅しているように思う。舗装も以前よりしっかりできている。
今回シンポジウム会場の大学会館講堂は、昔はイ号館と呼ばれ教養部の建物の一つで待兼山山上に白く目立つ存在だった。今は若干ピンクがかった白に塗装されていて、昔の味気ない白とは印象が異なる。内部は徹底的に改装されてエレベータまで装備され、ピカピカな印象で、躯体は戦前の浪速高等学校時代のモノとは思えない。昔、教養で受講中、あまりに遠望が利くので思わず外を見ていると、遥か向こうに伊丹空港が見え、ジェット旅客機が数分おきに離陸し、或いは着陸しているのが見えて、その頻繁さに驚いてボーっと見ていたことを思い出す。そういえば、1階の広い教室は、受講者の多い社会思想史や犬養孝教授の万葉集の講義で使用したか。
何だか高校生が三々五々集まっている。夏休みなので、阪大のオープンキャンパスというか、AI関連研究へのガイダンスの意味もあるらしいことに、ようやく気付いた。ネットで参加を申し込んだのだが、それへの返信なかったので確かに登録できているのか、この期に及んで急に不安になったが、無事受付をパス。資料を取れと言われて、見たが予稿集ではなく、寄付募集の案内だったのには失望した。一般人含めた初歩的内容という位置づけで、予稿集は無いのかもしれない。だとすれば、メモしなければ手ぶらで帰らざるを得ない。
非常に迂闊だったが暑さのせいか、筆記具と眼鏡持参をスッカリ忘れていた。眼鏡は断念するとして、ノートはあったので筆記具は生協で買うことにして、時間まで外に出た。
昔、学生食堂があったあたりに、生協売店があるような案内図だったので、当時の感覚で歩き出す。イ号館周りだけではなく、人が多い。夏休みなのに何故学生であふれているのか。聞く相手もいないので、仕方がない。構わず歩いて行くと、売店は容易に見つかった。昔のスーパー風から今のコンビニ風に変わっていたが、さすがに文具は種類も数も豊富。フリクションペンとシャープ替芯、消しゴムを買った。
その後、法文経、文系3学部の共同棟に向かって歩いた。外観が変わっているようだが、耐震補強が分厚いだけで、中身躯体は変わっていないのが分かった。とにかく空き地や余分の空間が無くなっており、鉄筋の建物であふれているが、昔からの基本の建物は基礎工学部、理学部、図書館・学食、教養部とあまり変わっておらず皆耐震補強で外観が変化していただけ。教養部の大通りは並木道に変容して、今様の大学キャンパスの風情を醸していた。そういえば教養部は無くなり全学教育推進機構に変わったもののようだ。リベラル・アーツの軽視にならなければ良いが。
案内にあった“「AIと人がつくる未来社会」シンポジウム”の内容・スケジュール詳細は次の通り。
主催:日本学術会議第三部、近畿地区会議、国立大学法人大阪大学
後援:一般社団法人情報処理学会、一般社団法人電子情報通信学会、国立研究開発法人情報通信研究機構、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所、文部科学省Society5.0実現化研究拠点支援事業「ライフデザイン・イノベーション研究拠点」、財団法人日本学術協力財団(予定)
場所:大阪大学会館講堂
【講演等次第】司会:東野 輝夫(日本学術会議第三部会員、大阪大学大学院情報科学研究科教授)
13:00~13:20
主催者挨拶・開会挨拶 : 西尾 章治郎 (大阪大学総長)
日本学術会議第三部・部長挨拶 : 大野 英男 (日本学術会議第三部会員・部長、東北大学総長)
関西地区会議代表幹事挨拶: 伊藤公雄(日本学術会議第一部会員・近畿地区会議代表幹事、京都産業大学現代社会学部客員教授)
13:20~14:10・講演:「人と関わるロボットの研究開発」
石黒 浩(阪大大学院基礎工学研究科教授、阪大共生知能システム研究センター長)
14:10~15:00・講演:「ヒト脳情報研究と人工脳モデル」
柳田 敏雄(阪大大学院生命機能研究科特任教授、情報通信研究機構/阪大 脳情報通信融合研究センター長)
15:00~15:20 休憩
15:20~15:50・講演:「AI社会の歩き方」
江間 有沙(東京大学未来ビジョン研究センター特任講師)
15:50~16:20・講演:「人とAIを言葉でつなぐ~自然言語処理による言語理解~」
荒瀬 由紀(阪大大学院情報科学研究科准教授)
16:20~16:30 休憩
16:30~17:30:総合討論「AIと人がつくる未来社会」
司会:徳田 英幸(日本学術会議第三部会員・副部長、国立研究開発法人情報通信研究機構・理事長)
パネリスト:石黒 浩、柳田 敏雄、江間 有沙、荒瀬 由紀、八木 康史(阪大理事・副学長)
17:30:閉会挨拶:山極 壽一(日本学術会議会長、京都大学総長)
17:40 閉会
この分野、全く無知だが、どうやらこのシンポジウムは日本のAI研究最先端の研究者を集めたもののようで、先のセミナーで松井講師が大いに勧めた理由が了解できた。しかしここでは、強く受けた印象の紹介に留めておく。
石黒浩教授は自らのアンドロイドを造り、忙しい時の講演依頼にはそのアンドロイドを派遣しているという名物教授だった。そういえばテレビで見た記憶がある。勿論、質疑応答にはネット電話を使って御本人が答えることにしているとのこと。極めて合理的だ。しかし、その内にどっちが本質なのか分からなくなる心理が芽生えるとのこと。また人はロボットを信頼する性向があり、人間が居れば問題になるホテルの部屋にロボットが居ても騒ぎにならない。ロボットが推奨するものはバカ売れし、ロボットの指導には恥をかいても素直に従うので教育ロボットは成立する。米朝ロボットに落語を語らせて芸を今によみがえらせ、漱石のロボットで読み聞かせてみている。そして、“人類の歴史は技術革新の歴史だった。”との信念で、研究しているとのことだった。
柳田敏雄教授の次の発言は印象的で、希望が持てるものだった。曰く、ディープラーニングのオリジナルは福島邦彦氏だったが、現状の日本は世界のIT技術に遂に追いつける状態ではない。しかし今のAIはビッグデータ読み込みにエネルギーとコストがかかる。しかもインプットしたビッグデータに偏りがあるとは気付かなければ、誤った結論を正しいものと思い込んでしまう。これに対し人間の思考は1ワット程度でインプットにエネルギーを要しない。直感やひらめきで、インプット・データや結論の客観性や正邪を評価し見極めようとする力がある。この直感やひらめきに対して、現状のディープ・ラーニングでは限界がある。日本はその弱点を克服することで、IT技術で世界をリードできるようになるはずだ。そして、その分野では今日本は進んでいる、とのことで研究事例の紹介があった。具体的にはMRIで脳活動を計測して研究している。サッカー選手のネイマールのゲーム中の動きを分析すると、他のスペインリーグの選手より圧倒的に左脳が活発に活動し、沢山の運動パターンの中から最適解を瞬時に選択していることを無意識でやっていることが分かった。こうして人の多様な認知機能の統合モデルを構成し、ついには全脳モデルを造れば人の人格最高性が可能になると考えている。
江間有沙講師からは、まだ見ぬ技術、例えば兵士ロボットつまり殺人ロボットが出現した場合にどのような倫理観で対処するのか、出現してから考えるのでは遅いことになるとの指摘があった。AI社会実装に当たって、留意すべき3つの項目としてFAT(公正Fairness、説明可能性Accountability、透明性Transparency)が重要であるとのこと。様々な人々の価値観に対してFATが成立するような“人間中心のAI社会原理”の構築を目指すべきであるとのことだった。
荒瀬由紀准教授の講演では、言語処理に関しては、やはり未だAIの限界が目立つようで、文脈の前後から適切な言葉を選択することは不十分なところがあるようだった。例えば“苦手”と“嫌い”の区別が困難だとのこと。人間レベルの頑健(恐らくstout)な言語理解技術の開発が必要とのことだった。
石黒教授も指摘していたことだが、AIの進歩によって人類は遊んで暮らすようになるはずだ。だから如何に遊ぶかが問題となって来る。ここでは“小人閑居して不善をなす”の言葉はでなかったが、“不善をなす”ことが無いように上手く遊ぶ方法を見つけなければならなくなる、という意味の議論があった。京大総長の山極壽一氏はゴリラの研究家だそうで、講演者からしきりに、動物園に居るゴリラは自然の中で生きるための“仕事”しなくなって遊んで暮らせるようになっているはずで、それはゴリラの仕合せにつながっているのだろうか、という疑問が講演の中で問いかけられていた。
山極総長は、閉会挨拶の中でその点に答えるように次のように語っていた。動物園のゴリラは、引きこもりになるものが多い、それから歯周病にも罹っている。恐らくそれが原因で亡くなっているものも居るはずだ。それが果たして彼らの仕合せだろうか、と。中々示唆に富む話だった。
閉会が予定より少し遅くなったが、予定通り終了。
今度も石橋阪大下交差点を経由して石橋駅東改札から阪急乗車。梅田から淀屋橋に出て中之島図書館に返却図書持参。帰りは、梅田大丸に寄って酢漬けニンニク購入して帰宅。
※最後に酷暑につき来週は休刊とさせて頂きたい。ただでさえ働かない頭脳、暑さのダメージに耐え切れず、何卒よろしくお願いしたい。
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“季節調整済み速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で1.8%増となった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う4月下旬からの10連休効果で個人消費が拡大。設備投資も堅調だった半面、米中貿易摩擦などに伴う海外経済の減速が響いて輸出は減少した。”
この結果に市場の反応はあったのか、なかったのか、専門家にも分からないくらい薄いものだった。何故か?実は7月初旬頃に、4-6は悪いんじゃないか、という声を聞いたように思っていた。だから、この発表を聞いて実感とは異なるものだったのだ。数字の分析では内需の伸びが主要因で、投資と消費が伸びたという。しかし、最近の企業業績と消費者心理に関して次のような報道もあった。
“日本経済新聞社の集計で、上場企業の2019年4~6月期の純利益は前年同期比14%減と3四半期連続で減益となった。米中貿易戦争が直撃した製造業に加えて、非製造業も陰りが出てきた。社数ベースで上場企業全体の6割近くが減益となった。今期は前期比4%減と2期連続の減益見通し。円高が急速に進んでおり、業績は一段と下振れするリスクがある。”
“内閣府が(19年7月)31日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.9ポイント低下の37.8だった。2014年4月以来の低い水準となった。前月を下回るのは10カ月連続。”
これで、どうして4~6月のGDPは3四半期連続のプラスなのか。やっぱり、集計に政権への忖度があるのではないか。日本のGDP発表も中国と同じで、信頼できるのか。実に怪しい話だ。
現実は景気は悪くなる傾向にある。8月冒頭に世界同時株安があった。この暴落にニュー・ヨーク市場は戻り歩調にあるが、果たして日本市場はどうか。消費増税が控えていては、誰も暢気にはしていられないはずだが、個人客に株を買わせようと押し目買いを煽るかのような予想が流布されている。しかし、信頼するチャーチストによれば、日経平均が20,408円を一旦下回れば2万円を割り込むとの予測があり、今や正にその限度を越えてしまったのが現実だ。場合によっては昨年最安値19,155円さえ下回る可能性もあるという。
北朝鮮が新型ミサイルの試射にいそしんでいる。これは落下時低空でコントロールされながら飛行するので、迎撃が非常に困難だという。つまりロシアから入手した巡航ミサイルに近いモノではないのか。中国は北経由で、いずれこれを入手するだろう。これを日本のマスコミは意図的にだろうか、“弾道”ミサイルと言ったり、微妙な表現の“飛翔体”と言っている。トランプ大統領も意図的に短距離ミサイルで問題ないと強弁している。実は、巡航ミサイルに核を搭載すれば国土防衛にとって非常に危機的であるが、日本は結構暢気な印象だ。
毎年、この頃になると原爆記念日がやって来る。今年で74回目だと言う。当然だが、被爆者は高齢化してきた。被爆の現実を語る人がいなくなると、この国では歴史修正主義者が跋扈する。何故か?
それは一つには歴史を感情的に捉える傾向が強いからではないか。“原爆は要らない!核廃絶だ!”とはよく聞かれる台詞だ。しかし、何故原爆が投下されるに至ったのか?何故日本は戦争を引き起こしたのか?を議論することはない。日本人に歴史の何故を客観的に把握し、理詰めで分析し、理解しようとする傾向はない。
だから、現在の状態を歴史的に再び同じ道を歩もうとしているかのようでも、全くそれに気付かない。小泉内閣以来、政府はインチキを言い続けて、そのインチキを実行して来ている。政策がインチキだから景気は一向に良くならない。これに国民はイライラし、一層感情的になっている。
昭和の初めもこのようであったのではなかろうか。長引く不景気に軍人はクーデターを実行し、社会心理を一層不安定化させた。そして世論が極端化し、戦争に走ったのではなかったか。
特に、最近の対韓政策と世論に同じような臭いを感じる。ある日本人経済学者が日本のこの政策が国際的にみてインチキだと言っていた。この主張自体には十分な説明なく、私の理解できるところではなかったが、どうやらマスコミ報道が安倍政権に忖度し過ぎて、客観性を保持できていないのではないか。果たして、このような政策が正しく国益に叶うのか、日本の78人の知識人の声を、マスコミは適正に報じず無視している。
先日、経済学者・野口悠紀雄氏の著作を書店店頭で立って拾い読みした。すると次の意味のような下りがあった。正確な記述ではないが、記してみる。
“小林一三(阪急グループの創業者)が岸信介を「アカ」呼ばわりしていた。今の安倍政権も同じではないか。”
安倍氏の祖父・岸信介は戦前の革新官僚であり、いわば官僚社会主義を指向していた。それを指して小林氏は私企業の経営に容喙してくる政権に「アカ」と言ったのだろう。野口氏は安倍氏が給与水準の引き上げを財界に“お願い”して回る姿を指して“それと同じだ”と言っていて、それは“正統な「保守」の政策ではない”と指摘している。
しかし、安倍政権は法律を無視してでも、政権に従えと全官僚を叱咤し、森友事件不起訴に見られるように検察も巻き込んで超法規的な絶対官僚主義を指向しているのではなかろうか。これが真実であれば、革新官僚が中心だった開戦直前の状態への戦前回帰、“いつか来た道”に戻ってしまっている。官僚の権益を墨守して、国家を滅ぼしたのだ。この傾向にある現政権を何故支持するのか、私は全く理解不能だ。
日本のジャーナリストは政権寄りで腰抜けばかりか!その腰抜けがパワハラで若い記者を脅しているのか。
ヨシモトの何が問題かと言えば、一体、どの口でSDGsを唱えるのかに本質がある。CSRにしろ、或いはISOにしろ、建前のウソが日本中を蔓延している。第一に首相の言葉全てに、真実が皆無で空虚なのだ。彼のゴルフの内容すら欺瞞。いずれ、その大小様々のウソは大きな代償として、それも悲惨な結果として跳ね返って来るのではないか。日本は何度敗戦すれば目覚めるのか。その度に代償を支払ってきた。もっと本質を見抜き、誠実で正直になるべきではないか。問題の中でもっと何が正義かを見抜き、少しでもそれを実現させたいものだ。
さて、今回は8月1日に阪大・豊中キャンパスにて、“「AIと人がつくる未来社会」シンポジウム”の催しがあった。この催しは、先月紹介したセミナー“AIによるSDGsの推進”で、松井講師が是非聴講するべきだと推奨していたので、即座にスマホで申し込んでおいたものだった。阪大・豊中キャンパスは何年ぶりだろうか。2009年6月頃に総合学術博物館(待兼山修学館)を訪ねた経緯がある程度だ。(このブログで記事にしている。)
阪急・石橋駅に11時半前に到着して向かいの上りホームに移り、東改札口から出て、まずは腹ごしらえ。パスタ専門店Albar(アルバール)石橋店で“海鮮パスタ・ランチセット”を食べた。
それから、わざわざ西側に回り込んで石橋商店街のアーケードを抜けた。この商店街は珍しくシャッター通りにはなっておらず、何故か各店皆繁盛していた。そして片側1車線の狭い国道171号の跨道橋下に出て、石橋阪大下交差点から進む。正面は待兼山で、門の向こう左手に旧医療技術短大だった総合学術博物館が見える。待兼山の周囲をめぐるように緩やかに左カーブしながら登って行く。地図によれば“阪大坂”となっているが、道路幅は昔より1.5倍は拡幅しているように思う。舗装も以前よりしっかりできている。
今回シンポジウム会場の大学会館講堂は、昔はイ号館と呼ばれ教養部の建物の一つで待兼山山上に白く目立つ存在だった。今は若干ピンクがかった白に塗装されていて、昔の味気ない白とは印象が異なる。内部は徹底的に改装されてエレベータまで装備され、ピカピカな印象で、躯体は戦前の浪速高等学校時代のモノとは思えない。昔、教養で受講中、あまりに遠望が利くので思わず外を見ていると、遥か向こうに伊丹空港が見え、ジェット旅客機が数分おきに離陸し、或いは着陸しているのが見えて、その頻繁さに驚いてボーっと見ていたことを思い出す。そういえば、1階の広い教室は、受講者の多い社会思想史や犬養孝教授の万葉集の講義で使用したか。
何だか高校生が三々五々集まっている。夏休みなので、阪大のオープンキャンパスというか、AI関連研究へのガイダンスの意味もあるらしいことに、ようやく気付いた。ネットで参加を申し込んだのだが、それへの返信なかったので確かに登録できているのか、この期に及んで急に不安になったが、無事受付をパス。資料を取れと言われて、見たが予稿集ではなく、寄付募集の案内だったのには失望した。一般人含めた初歩的内容という位置づけで、予稿集は無いのかもしれない。だとすれば、メモしなければ手ぶらで帰らざるを得ない。
非常に迂闊だったが暑さのせいか、筆記具と眼鏡持参をスッカリ忘れていた。眼鏡は断念するとして、ノートはあったので筆記具は生協で買うことにして、時間まで外に出た。
昔、学生食堂があったあたりに、生協売店があるような案内図だったので、当時の感覚で歩き出す。イ号館周りだけではなく、人が多い。夏休みなのに何故学生であふれているのか。聞く相手もいないので、仕方がない。構わず歩いて行くと、売店は容易に見つかった。昔のスーパー風から今のコンビニ風に変わっていたが、さすがに文具は種類も数も豊富。フリクションペンとシャープ替芯、消しゴムを買った。
その後、法文経、文系3学部の共同棟に向かって歩いた。外観が変わっているようだが、耐震補強が分厚いだけで、中身躯体は変わっていないのが分かった。とにかく空き地や余分の空間が無くなっており、鉄筋の建物であふれているが、昔からの基本の建物は基礎工学部、理学部、図書館・学食、教養部とあまり変わっておらず皆耐震補強で外観が変化していただけ。教養部の大通りは並木道に変容して、今様の大学キャンパスの風情を醸していた。そういえば教養部は無くなり全学教育推進機構に変わったもののようだ。リベラル・アーツの軽視にならなければ良いが。
案内にあった“「AIと人がつくる未来社会」シンポジウム”の内容・スケジュール詳細は次の通り。
主催:日本学術会議第三部、近畿地区会議、国立大学法人大阪大学
後援:一般社団法人情報処理学会、一般社団法人電子情報通信学会、国立研究開発法人情報通信研究機構、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所、文部科学省Society5.0実現化研究拠点支援事業「ライフデザイン・イノベーション研究拠点」、財団法人日本学術協力財団(予定)
場所:大阪大学会館講堂
【講演等次第】司会:東野 輝夫(日本学術会議第三部会員、大阪大学大学院情報科学研究科教授)
13:00~13:20
主催者挨拶・開会挨拶 : 西尾 章治郎 (大阪大学総長)
日本学術会議第三部・部長挨拶 : 大野 英男 (日本学術会議第三部会員・部長、東北大学総長)
関西地区会議代表幹事挨拶: 伊藤公雄(日本学術会議第一部会員・近畿地区会議代表幹事、京都産業大学現代社会学部客員教授)
13:20~14:10・講演:「人と関わるロボットの研究開発」
石黒 浩(阪大大学院基礎工学研究科教授、阪大共生知能システム研究センター長)
14:10~15:00・講演:「ヒト脳情報研究と人工脳モデル」
柳田 敏雄(阪大大学院生命機能研究科特任教授、情報通信研究機構/阪大 脳情報通信融合研究センター長)
15:00~15:20 休憩
15:20~15:50・講演:「AI社会の歩き方」
江間 有沙(東京大学未来ビジョン研究センター特任講師)
15:50~16:20・講演:「人とAIを言葉でつなぐ~自然言語処理による言語理解~」
荒瀬 由紀(阪大大学院情報科学研究科准教授)
16:20~16:30 休憩
16:30~17:30:総合討論「AIと人がつくる未来社会」
司会:徳田 英幸(日本学術会議第三部会員・副部長、国立研究開発法人情報通信研究機構・理事長)
パネリスト:石黒 浩、柳田 敏雄、江間 有沙、荒瀬 由紀、八木 康史(阪大理事・副学長)
17:30:閉会挨拶:山極 壽一(日本学術会議会長、京都大学総長)
17:40 閉会
この分野、全く無知だが、どうやらこのシンポジウムは日本のAI研究最先端の研究者を集めたもののようで、先のセミナーで松井講師が大いに勧めた理由が了解できた。しかしここでは、強く受けた印象の紹介に留めておく。
石黒浩教授は自らのアンドロイドを造り、忙しい時の講演依頼にはそのアンドロイドを派遣しているという名物教授だった。そういえばテレビで見た記憶がある。勿論、質疑応答にはネット電話を使って御本人が答えることにしているとのこと。極めて合理的だ。しかし、その内にどっちが本質なのか分からなくなる心理が芽生えるとのこと。また人はロボットを信頼する性向があり、人間が居れば問題になるホテルの部屋にロボットが居ても騒ぎにならない。ロボットが推奨するものはバカ売れし、ロボットの指導には恥をかいても素直に従うので教育ロボットは成立する。米朝ロボットに落語を語らせて芸を今によみがえらせ、漱石のロボットで読み聞かせてみている。そして、“人類の歴史は技術革新の歴史だった。”との信念で、研究しているとのことだった。
柳田敏雄教授の次の発言は印象的で、希望が持てるものだった。曰く、ディープラーニングのオリジナルは福島邦彦氏だったが、現状の日本は世界のIT技術に遂に追いつける状態ではない。しかし今のAIはビッグデータ読み込みにエネルギーとコストがかかる。しかもインプットしたビッグデータに偏りがあるとは気付かなければ、誤った結論を正しいものと思い込んでしまう。これに対し人間の思考は1ワット程度でインプットにエネルギーを要しない。直感やひらめきで、インプット・データや結論の客観性や正邪を評価し見極めようとする力がある。この直感やひらめきに対して、現状のディープ・ラーニングでは限界がある。日本はその弱点を克服することで、IT技術で世界をリードできるようになるはずだ。そして、その分野では今日本は進んでいる、とのことで研究事例の紹介があった。具体的にはMRIで脳活動を計測して研究している。サッカー選手のネイマールのゲーム中の動きを分析すると、他のスペインリーグの選手より圧倒的に左脳が活発に活動し、沢山の運動パターンの中から最適解を瞬時に選択していることを無意識でやっていることが分かった。こうして人の多様な認知機能の統合モデルを構成し、ついには全脳モデルを造れば人の人格最高性が可能になると考えている。
江間有沙講師からは、まだ見ぬ技術、例えば兵士ロボットつまり殺人ロボットが出現した場合にどのような倫理観で対処するのか、出現してから考えるのでは遅いことになるとの指摘があった。AI社会実装に当たって、留意すべき3つの項目としてFAT(公正Fairness、説明可能性Accountability、透明性Transparency)が重要であるとのこと。様々な人々の価値観に対してFATが成立するような“人間中心のAI社会原理”の構築を目指すべきであるとのことだった。
荒瀬由紀准教授の講演では、言語処理に関しては、やはり未だAIの限界が目立つようで、文脈の前後から適切な言葉を選択することは不十分なところがあるようだった。例えば“苦手”と“嫌い”の区別が困難だとのこと。人間レベルの頑健(恐らくstout)な言語理解技術の開発が必要とのことだった。
石黒教授も指摘していたことだが、AIの進歩によって人類は遊んで暮らすようになるはずだ。だから如何に遊ぶかが問題となって来る。ここでは“小人閑居して不善をなす”の言葉はでなかったが、“不善をなす”ことが無いように上手く遊ぶ方法を見つけなければならなくなる、という意味の議論があった。京大総長の山極壽一氏はゴリラの研究家だそうで、講演者からしきりに、動物園に居るゴリラは自然の中で生きるための“仕事”しなくなって遊んで暮らせるようになっているはずで、それはゴリラの仕合せにつながっているのだろうか、という疑問が講演の中で問いかけられていた。
山極総長は、閉会挨拶の中でその点に答えるように次のように語っていた。動物園のゴリラは、引きこもりになるものが多い、それから歯周病にも罹っている。恐らくそれが原因で亡くなっているものも居るはずだ。それが果たして彼らの仕合せだろうか、と。中々示唆に富む話だった。
閉会が予定より少し遅くなったが、予定通り終了。
今度も石橋阪大下交差点を経由して石橋駅東改札から阪急乗車。梅田から淀屋橋に出て中之島図書館に返却図書持参。帰りは、梅田大丸に寄って酢漬けニンニク購入して帰宅。
※最後に酷暑につき来週は休刊とさせて頂きたい。ただでさえ働かない頭脳、暑さのダメージに耐え切れず、何卒よろしくお願いしたい。
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