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“ISOを活かす―36. 是正処置の必要性を判断して、不適合の再発を防止する”


今回は 是正処置の実施判断の問題です。

【組織の問題点】
3年前にISO9001の認証を取得した電子機器メーカーA社では、製品検査における不適合が、月50件発生しています。
この不適合に対して是正処置は10%しか実施されず、残りの90%は 不適合の除去 つまり修理や廃棄処分にしているとのこと。この是正処置実施の判断は 製造部の検査担当者が行なっているのですが、A社の不適合は 一向に減少していないそうです。このままでは問題なので、どうすれば 不適合を減少させられるでしょうか、という課題です。

【磯野及泉のコメント】
ここで、 “是正処置が必要かどうかの判断を、誰が行なうか” ですが、本文中で著者・岩波氏は “検査担当者ではなく責任者が判断するべきでしょう。” と言っています。この指摘は その通りだと思います。責任者が正しく 対処することで不適合は減少するはずです。

さて、その“責任者”は 誰か、です。恐らく “不適合が月に50件発生” させているプロセスのオーナーつまり 製造部の 部長または その部長の信任を受けた代行者というイメージだと思われます。
ここで、前回同様 “プロセス”という発想が 必要になると思われます。プロセス・オーナーは、インプット/アウトプットの工程の中で 不適合を発生させている 一かたまりの業務システム全体を一プロセスと見なしたときの責任者です。

プロセスの大きさについては 決まった定義はありません。その時の 思考整理が し易い業務の集合を 一プロセスと見てよいということになっています。
例えば 下図のようなシリーズの一連のプロセスで、一番左側のインプットは “顧客要求” であり、一番右側のアウトプットは “顧客満足” を 想定している訳ですが、このN番目のプロセスにおいて、そのプロセスの内容は さらに小さなプロセスa,b,c,・・・のプロセスに分解されます。
このプロセスa,b,c,・・・も 究極には 箸の上げ下ろしのような 動作プロセスにまで 分解可能です。実際に、自動車産業で採用されている QC工程表に相当する コントロール・プランで 溶接等の作業を 手順のプロセスまで分解して提示されている事例もあります。
つまり、こうしたプロセスの分解が システム・マネジメントにとって意味があるか どうかで管理するべきプロセスの大きさを決めるべきでしょう。



このA社の事例では、製造部の月50件の製品検査における不適合が、問題となっています。つまり、製造部全体を プロセスと見なし、その管理のための指標を 提示しています。ですから、この製造部プロセスについて 分析する必要があります。
自動車産業向け規格のISO/TS16949で 使われる タートル分析をイメージすれば理解しやすいでしょう。



是正処置の判断を プロセス・オーナーが 行うべきであるのは、そのプロセスの全貌を把握している人でなければ、是正処置を 行うことが 適切であるか否か判断がつかないと 考えられるからです。それは、不適合の再発防止には重点指向で臨まないと、“根本問題が解決しないもの” からです。

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